2020 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ細胞の長期生存と免疫調節機能を支える分子基盤の解明
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20H03503
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊勢 渉 大阪大学, 感染症総合教育研究拠点, 教授 (70323483)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抗体 / プラズマ細胞 / 長期生存 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)プラズマ細胞の運命追跡が可能なBlimp-1-ERT2cre x Ai14マウスを用いて、長期生存を果たしたプラズマ細胞の表面分子発現を解析した。その結果、1か月以上骨髄で生存を果たしたプラズマ細胞の大半はB220-lo MHC-II-loというフェノタイプを示すことがわかった。またプラズマ細胞が高発現する転写因子IRF4の発現も生存の長さに応じてIRF4-loからIRF4-hiに変化することがわかった。
2)抗原特異的B細胞の移入実験系を用いて、抗原タンパク質の免疫で誘導されたプラズマ細胞が骨髄内で長期生存する過程をモニターすることを試みた。抗原特異的プラズマ細胞は免疫から7日目に骨髄で検出された。検出されたプラズマ細胞の大部分はB220-hi MHC-II-hiであった。しかし時間経過とともにB220とMHC-IIの発現が低下し、免疫から1か月が経過するとB220-lo MHC-II-loのプラズマ細胞が大半を占めていた。抗原特異的プラズマ細胞数を計測したところ、骨髄に流入したプラズマ細胞の約60%が最初の2週間で死滅し、1か月以上生存するのは10-30%程度であることが判明した。
3)プラズマ細胞の長期生存を支える因子を同定する目的で、骨髄に流入したばかりの抗原特異的プラズマ細胞および骨髄で1か月生存した抗原特異的プラズマ細胞を分離し、RNAシークエンス解析を行った。そしてそれぞれのプラズマ細胞集団に高発現する遺伝子群を同定することができた。骨髄で長期生存したプラズマ細胞では、細胞増殖、グルコース代謝、酸化的リン酸化などに関連する遺伝子群の発現低下が顕著に認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した実験は予定通りに実施することができた
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-seq解析から、誕生したばかりのプラズマ細胞と、長期生存を果たしたプラズマ細胞で発現差がある分子を同定することができた。今後はそれらの分子がプラズマ細胞の生存や生存ニッシェへの移動に果たす機能を詳細に検討していく。
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Research Products
(2 results)