2021 Fiscal Year Annual Research Report
Deciphering the heterogeneity of the cancer-derived exosomes and single cell analysis of exosome uptaken cells
Project/Area Number |
20H03508
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
星野 歩子 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (00819964)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん転移 / エクソソーム / ExoView / 前転移ニッチ / 臓器特異的転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんから放出される微小胞(エクソソーム)が、未来転移先臓器にあらかじめ取り込まれ、その臓器へのがん転移を促進することを報告してきた。しかし、エクソソームを特定の臓器へ導く分子が何かはわかっているが、それ以外のエクソソームの役割について、またその他のどの分子が転移の他の機序に関わるかについては未だ多くは明らかでない。そこで本研究では、がん由来エクソソームのうち、どのサブ集団にがん転移促進能があるのかを1粒子レベルで調べ、そこに含まれるどの分子が重要かを検討する。 ①前転移ニッチの形成に寄与するがん由来エクソソームの特徴を1微粒子レベルで明らかにすることを第1の目的とする これまでにがん細胞由来エクソソームのインテグリンα6β4が肺転移に、CEMIPが脳転移に、それぞれ重要な役割を果たすことを報告した。本年度ではシングルエクソソーム解析が可能なExoViewを用いて肺転移性がん細胞のクローン株を作り、クローン別に細胞由来エクソソームの多様性が異なるかについて検討を行い、比較対象としてベストな4種類のクローンの解析を開始した。それぞれのクローンの粒子量、サイズ、タンパク質含有レベル、ならびに特定分子の含有量について調べた。これによって、単一細胞から産生されるエクソソームにも多様性があり、その違いがどの様な細胞機序によって規定されているのかが、今後解析できることになる。 また、今年度はクローン細胞側の特徴についても検討を行った。特定の分子陽性のエクソソームをより多く産生する細胞とそうでない細胞ではその細胞の形質に違いがあることを調べた。この特徴については、細胞の特定のタンパク質発現量の差だけではなく、がん細胞の悪性度に関わるとされる、増殖や遊走能についても違いが見られた。この実験については全てin vitroで行なっているため、今後in vivoの実験へと展開させていくことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請書を作成した際にはわかっていなかったエクソソームの多様性が細胞の違いとどの様に連関しているのかが見えてきている。クローン細胞が作成することで、インテグリンa6b4陽性のエクソソームをより多く産生する細胞とそうでない細胞の存在が明らかになった。さらに、その細胞での発現量はエクソソームの量に相関があることがわかり、これまで言われてきている、エクソソームへの特定分子の特異的パッケージングはこの場合行われていない可能性が見出されてきた。また、それぞれの細胞には増殖や遊走能において特徴があることがわかり、エクソソームにおける特定のインテグリン量に応じた転移能というのは、細胞の遊走能とは独立していることもわかってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
インテグリンa6b4陽性のエクソソームの量は細胞での発現量と相関があることがわかってきたため、今後エクソソームへのインテグリンa6b4パッケージングが非常に少ないが、細胞での発現は多い骨転移性がん細胞についてもクローン細胞を作成してインテグリンa6b4陽性のエクソソームと細胞での発現量の関係性について調べる。さらに、肺転移性と同様にその増殖能と遊走能に関連があるかどうかについて明らかにする。今後、インテグリンa6b4陰性のエクソソームの挙動について詳細に調べていく。
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