2022 Fiscal Year Annual Research Report
RB1 tumor suppressor functions in metabolism
Project/Area Number |
20H03509
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 智聡 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (50283619)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん抑制遺伝子 / がん代謝 / CDK4/6阻害剤 / CDK2/4/6阻害剤 / 治療抵抗性 / RAS / EGFR / AMPK |
Outline of Annual Research Achievements |
RB1がん抑制遺伝子産物は、発がん時よりもむしろ悪性進展時において頻繁に不活性化し、そのことは、G1期からS期への促進のみでなく、転移、細運命変換や上皮間葉変換等の誘導に寄与する事が知られていた。我々は、このようなコンテクストにおけるRB1機能の分子基盤を探索すべく網羅的な遺伝子発現・代謝解析を行い、脂質代謝のマスターレギュレーターであるSREBP転写因子群や解糖系酵素であるPGAM1,2がRB1のnon canonicalな標的である事等を出した。そして、これらの発見をヒントに、RB1が、細胞周期制御分子や組織特異的転写因子との強調に加え、細胞の代謝を巧妙に節する事によって、細胞の未分化な挙動を制御するというアイデアを得た。本計画では、RB1が代謝を制御するメカニズムとその生理的意義を詳細に解明することによって、がん治療の標的としてのがん代謝の本態に迫ることを目指した。R4年度は、RB1の新規標的として見出したELOVL6の阻害がC16脂肪酸の蓄積によってセラミドが増加、これが細胞死を誘導するメカニズムと耐性発現機構を解明した。またELOVL6阻害の効果が免疫不全マウスにおいては観察されなかったこととELOVL6阻害がSTING経路の活性化を介して数種類のケモカインの発限変化を見出した。RB1とAMPKの関係の探索は、RB1によるMycやRasの正の制御という意外な知見をもたらした。RAS変異がん(肺がん、大腸がん、膵臓がん)にたいしてCDK4/6阻害剤を適応拡大する挑戦を続け、CDK4/6阻害に対する抵抗性発現機序の探索の過程で、RB1とEGFR/Rasシグナルの関係性が浮上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
CDK4/6およびCDK2/4/6阻害剤の適応拡大の挑戦において、コンビネーション治療のアウトラインを示すとともに、これらへの治療抵抗性のメカニズムの発見に至った。これは予想を超えた進捗であり、特許出願と上位ジャーナルへの投稿を準備中である。ELOVL6阻害がSTING経路の活性化を介して数種類のケモカインの発限を変化させる発見も新規性が高く、今回の課題では当所予期しなかった結果を多く得た。
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度は、RB1の新規標的として見出したELOVL6のがん治療標的としてのproof of concept 蒐集を目指す。ELOVL6阻害がC16脂肪酸の蓄積によってセラミドが増加、これが細胞死を誘導するメカニズムと耐性発現機構を解明する。また、ELOVL6阻害の効果が免疫不全マウスにおいては観察されなかったこととELOVL6阻害がSTING経路の活性化を介して数種類のケモカインの発限変化に繋がったという観察等から、ELOVL6の新規機能の発見を目指す。正常乳腺細胞におけるRB1とAMPKの関係の探索は、RB1によるMycやRasの正の制御という意外な知見をもたらした。この経路を引き続き探索しRB1によるRASシグナル制御の全容を解明する。KRAS変異がん(肺がん、大腸がん、膵臓がん)にたいしてCDK4/6阻害剤を適応拡大する挑戦を続けている。CDK4/6阻害に対する抵抗性発現機序の探索の過程で、やはりRB1とEGFR/Rasシグナルの関係性が浮上した。今年度このメカニズムと臨床的意義を徹底的に調べる。また、KRAS阻害剤とCDK4/6阻害剤の作用の比較から、RB1-RAS系への介入の薬理的・臨床的意義を考察する。さらに、膵臓がん発症モデルマウス及びPDXマウスを用い、CDK4/6阻害剤コンビネーション治療の前臨床試験とする。RB1の近傍に位置しこれと高頻度に共欠失するSUCLA2遺伝子の解析を行ってきた。今年度、SUCLA2よりもRB1により近い遺伝子の欠失がやはりがん治療の標的になるかどうかを探索する。
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Remarks |
金沢大学公開講座「がんを治す;がんの遺伝子診断と治療法の進歩」2022年5月21日 金沢大学サテライトプラザ (金沢市)
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[Journal Article] Inhibition of the mitochondria-shaping protein Opa1 restores sensitivity to Gefitinib in a lung adenocarcinoma resistant cell.Cell Death & Disease.2023
Author(s)
Noguchi M, Kohno S, Pellattiero A, Machida Y, Shibata K, Shintani N, Kohno T, Gotoh N, Takahashi C, Hirao A, Kasahara A, and Scorrano L.
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Journal Title
Cell Death & Disease
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] The germline factor DDX4 contributes to the chemoresistance of small cell lung cancer cells2023
Author(s)
Noyes C, Kitajima S, Li F, Suita Y, Miriyala S, Isaac S, Ahsan N, Knelson E, Vajdi A, Tani T, Thai TC, Xu D, Murai J, NTapinos N, Takahashi C, Barbie DA and Yajima M.
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Journal Title
Commun. Biol
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Selenoprotein P-mediated reductive stress impairs cold-induced thermogenesis in brown fat.2022
Author(s)
Oo SM, Oo HK, Takayama H, Ishii KA, Takeshita Y, Goto H, Nakano Y, Kohno S, Takahashi C, Nakamura H, Saito Y, Matsushita M, Okamatsu-Ogura Y, Saito M and Takamura T.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 38
Pages: -
Peer Reviewed
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