2020 Fiscal Year Annual Research Report
A study of mechanism of resolving DNA replication stress by long non-coding RNA in cancer cell
Project/Area Number |
20H03511
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 豊 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (00419897)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 非翻訳RNA / がん / 複製ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA複製ストレスは、がんの悪性化のための重要な事象の一つとして認識されており、染色体の構造異常や不安定性を誘導して組織多様性の形成に寄与している。一方で染色体の構造異常や不安定性を伴ったがん細胞では、複製ストレスによるDNA損傷修復や複製の異常などの分裂期前の障害が高頻度に見られ、より過剰な複製ストレスに曝されている。この際、調節がうまくできず複製ストレスが過剰に蓄積すると複製カタストロフィを惹起し、がん細胞は死滅する。しかし、多くのがん細胞は死滅することなく分裂・増殖を繰り返して腫瘍を形成することから、腫瘍特異的に複製ストレスを調節する未知の機序が存在する可能性が高い。本研究は、申請者らが発見したがん細胞の複製ストレスの調節に関わるlncRNA ”TUG1”に着目し、その機能の詳細および治療への応用について研究を進める。複製ストレスの調節機構は、染色体不安定性を伴うがん細胞にとって恒常的に分裂・増殖をするための分子基盤として必須の機構であり、本調節機構を治療標的とすることで革新的がん治療法への展開を目指す。これまで、①脳腫瘍細胞におけるTUG1誘導機構と細胞内動態および作用機序の解明 ②TUG1のRNA修飾に関する解析 ③TUG1 KOマウスモデルの解析 ④アンチセンス核酸を用いた治療への応用のテーマについて研究を行ってきた。本年度は、TUG1結合タンパク質としてRNAヘリカーゼを同定し、その細胞内局在や作用機序の解明を行った。さらにTUG1によって抑制されるR-loopの解析を行った。またTUG1に対する核酸治療薬の有効性を検証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、コロナの影響は比較的少なくおおむね順調に研究を進めることができた。 TUG1結合タンパク質の解析 およびTUG1の作用機序の解明:ビオチン化したTUG1と結合するタンパク質を質量分析で解析した。RNAヘリカーゼを同定し、TUG1との結合について、Ultraviolet (UV)-cross-linking immunoprecipitation (CLIP) 法やCRISPR-assisted RNA-protein interaction detection method (CARPID)を用いて検証した。これらの結合を介して、複製ストレス時等で発生するR-loopの解消をがん細胞で行っていることを見出し、TUG1の抑制によって変化するR-loopの解析をDNA-RNA immunoprecipitation-sequencing (DRIP-seq) to identify the genome-wide R-loop distributionを用いて開始した。 TUG1 KOマウスモデルの解析:3種類のTUG1 KOマウスモデルを構築し、解析を行った。これまで既報にあるような不妊、精子形成異常は観察されなかったが、約3割のマウスで早期老化のフェノタイプおよびリンパ腫形成を認めた。 アンチセンス核酸を用いた治療への応用:TUG1の作用機序より抗腫瘍薬として既存の抗がん剤の作用を高めることが期待できると考え、脳腫瘍細胞移植マウスモデルを用いたin vivoでの解析を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度はコロナウイルス感染症に対して柔軟に対応でき、研究をおおむね順調に進めることができた。引き続きTUG1の機能解析およびそのがん細胞の影響について解析を継続する。一方で研究課題のうちTUG1のm6Aメチル化修飾の解析過程で、がん細胞内ではTUG1の転写産物は様々な長さのRNAが存在することを見出した。こうしたTUG1の転写産物の多様性がどのように細胞の維持に関わるかについて解析を進める。またがん細胞内でTUG1をラベルしin vivo imagingが可能な系を新たに樹立した。今後の研究として、がん細胞がさらにDNA複製ストレスを受けた際に、TUG1がそれをどのように解析しているかについてimagingが可能であると考え、その解析も同時に進める予定である。
|
Research Products
(12 results)
-
[Journal Article] Cancer-Specific Targeting of Taurine-Upregulated Gene 1 Enhances the Effects of Chemotherapy in Pancreatic Cancer.2021
Author(s)
Tasaki Y, Suzuki M, Katsushima K, Shinjo K, Iijima K, Murofushi Y, Naiki-Ito A, Hayashi K, Qiu C, Takahashi A, Tanaka Y, Kawaguchi T, Sugawara M, Kataoka T, Naito M, Miyata K, Kataoka K, Noda T, Gao W, Kataoka H, Takahashi S, Kimura K, Kondo Y.
-
Journal Title
Cancer Research
Volume: 81
Pages: 1654~1666
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Newly established patient-derived organoid model of intracranial meningioma.2021
Author(s)
Yamazaki S, Ohka F, Hirano M, Shiraki Y, Motomura K, Tanahashi K, Tsujiuchi T, Motomura A, Aoki K, Shinjo K, Murofushi Y, Kitano Y, Maeda S, Kato A, Shimizu H, Yamaguchi J, Adilijiang A, Wakabayashi T, Saito R, Enomoto A, Kondo Y, Natsume A.
-
Journal Title
Neuro-Oncology
Volume: 23
Pages: 1936~1948
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-