2021 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1によるマルチモードウイルス発がん機序の解明
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20H03514
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安永 純一朗 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (40362404)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HTLV-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ATL臨床検体のCyTOF解析(マスサイトメトリー解析)により、発症時に加えて治療後に経時的に採取した検体での詳細な解析が必要となり、ATL症例の治療前後検体を用いてシングルセル解析を実施した。さらに、T細胞系列以外に重要な転写因子、表面抗原等に対する抗体のセットを追加し、再解析を行った。 Taxの一過性発現により活性化するスーパーエンハンサー(SE)および転写因子を同定し、その下流シグナルに及ぼす影響を解析した。CRISPR/CAS9による標的配列ノックアウト細胞株の樹立そ推進した。 HBZタンパク質、HBZ RNAがEZH2との結合を介して宿主遺伝子の転写を制御する分子機序に関して、免疫沈降、クロマチン免疫沈降、chromatin isolation by RNA purification (ChIRP) アッセイを行い解析した。新規HBZ標的遺伝子として同定したTAp73のノックアウトマウスとHBZ-Tgマウスの交配を行い、それらの表現型を観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ATL臨床検体を用いたシングルセル解析により、ATL細胞内で活性化しているシグナル伝達経路の同定、CD8陽性分画に免疫疲弊に関連した分子の発現変化を見出している。 Taxの一過性発現により活性化するSEと転写因子の同定でき、CRISPR/CAS9によるノックアウト細胞の樹立、発現解析まで順調に進んでいる。 HBZタンパク質、HBZ RNAが共に標的とする宿主遺伝子としてTAp73を同定し、その発現制御機構の解明、ノックアウトマウス樹立、HBZ-Tgマウスの交配が達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
Tax及びHBZの時間的・空間的(構造的)発現変動と作用機構に関して、次の解析を行う。 ・Taxの一過性発現が惹起するクロマチン構造変化とSE形成の意義: Taxが標的とするSEにより発現異常を来す遺伝子を同定した。そのATL細胞における機能的意義につき、CRISPR/Cas9でノックアウトした細胞株を用いて、表現系の変化を解析し明らかにする。 ・シングルセルレベルでのTax、HBZ、宿主遺伝子発現プロファイルの解析: CyTOFの結果をさらに発展させるため、臨床検体を用いてシングルセルRNA-seqを行い、ウイルス及び宿主遺伝子発現を網羅的に解析する。 ・HBZタンパク質、HBZ RNAにおけるEZH2結合の発がんにおける意義:HBZタンパク質、HBZ RNAがEZH2との結合を介して発現制御する分子を同定した。そのATL発がんにおける意義について、ATL細胞でのノックアウト、阻害剤処理を行い明らかにする。 ・上記の解析で得られた結果を原著論文として国際雑誌に発表する。
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Research Products
(13 results)