2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規S100A8/A9阻害分子の発見に基づいたがん脳指向転移の機構解明とその制御
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20H03516
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
阪口 政清 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70379840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 健一 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (00711798)
近藤 英作 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30252951)
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30397880)
木下 理恵 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (40518297)
西堀 正洋 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特命教授 (50135943)
村田 等 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (90579096)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | S100A8/A9 / HRG / 転移 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、(1)HRGとS100A8/A9が遠隔の腫瘍に応答して脳内環境のどの細胞からそれぞれ産生放出されているかを理解すること、(2)HRGの低下と脳転移に関連性があるかを検証すること、さらに、計画終了後の展開を念頭に時間が許せば、(3)HRGによるS100A8/A9阻害作用がなぜ脳選択的に起こるのか、その糸口を見出すことである。成果は以下の通りである。
(1)S100A8/A9はミクログリア細胞が産生していることが判明したが、HRGは免疫染色用の良い抗体がなく患者由来組織切片において検出することができていない。 (2)血漿を用いたELISA検討からHRGは脳転移がん患者さんで顕著に低下することが判明した。 (3)脳転移の起こりやすくしたB16-BL6クローン(HRGへの反応が鈍い細胞)についてRNAseq解析を行った。その結果、親株と比較して数多くの遺伝子発現変動が起こっており、その中でも脳転移の引き金になる、あるいはHRG耐性の理由となる可能性のある遺伝子変動をとらえることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HRGの免疫染色以外、計画がうまく進捗し期待通りの成果を得ることができた。さらに、脳転移の起こりやすくしたB16-BL6クローンのRNAseq解析を行うことができ、データからHRGによるS100A8/A9阻害作用の脳選択的に起こるメカニズムについて糸口を得ることができた。これは、計画終了後の研究展開に非常に重要なデータとなる。したがって、進捗状況を(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
S100A8/A9中和抗体#45製剤の転移制御製剤としての有用性を高めるため、HRG機能抑制により顕著となった転移の脳指向性への傾きをS100A8/A9中和抗体#45が抑制できるかどうかを動物転移モデルで検証する。 また、今後の展望を念頭に、HRGの受容体探索とその機能について検討し、HRGのがん細胞脳転移抑制への関与について研究を進めていく。さらに、脳転移の起こりやすくしたB16-BL6クローンのRNAseq解析データから研究を進め、HRG耐性機構について検討を深めていくものとする。これらにより、HRGのS100A8/A9吸着以外のがん転移抑制効能がみえてくるものと考える。
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Research Products
(14 results)