2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation for molecular mechanism of carcinogenesis driven by cancer stem cells
Project/Area Number |
20H03519
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 清嗣 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70345312)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 癌 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者がDNA損傷時にアポトーシスを誘導するp53のSer46リン酸化酵素として同定したDual specific tyrosine phosphorylation-regulated kinase 2 (DYRK2)に関し、さらなる機能解析を目的としている。具体的には、DYRK2の、1. 組織発生における機能、2. 組織・がん幹細胞における機能、ならびに、3. 大腸がんにおけるDYRK2の腫瘍抑制効果の解析、の3点に関して検証した。 1. 組織発生における機能解析:そもそも組織発生におけるDYRK2の機能は知られていないため、Dyrk2欠損マウスの表現系解析を行った。Dyrk2欠損マウス個体ならびDyrk2欠損細胞を用いた解析から、DYRK2 により制御される候補シグナルを同定した。現在、同定したシグナリングにおけるDYRK2の分子機序の解明を進めている。 2. 組織/がん幹細胞におけるDYRK2の機能解析:発がん過程には、組織幹細胞がcancer-initiating cellsに性質転換する例が報告されている。 DYRK2の局在解析から、DYRK2が複数の組織幹細胞で発現している可能性を見出した。そこで、cancer-initiating cellsにおけるDYRK2の機能解析を行うために、Lgr5発現細胞で特異的にDyrk2を欠損するマウスを作出した。現在、本マウスの解析を進めている。 3. 大腸がんにおけるDYRK2の腫瘍抑制効果の解析:我々はこれまでに、大腸がんにおいてDyrk2のノックダウンを行うことで、増殖性が亢進することをin vitroで報告している。そこで、大腸がん細胞株のXenograftモデルを作製し、アデノウイルスを用いたDYRK2過剰発現の効果を、増殖抑制ならびにアポトーシス誘導という観点から解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DYRK2による発癌制御や癌幹細胞性の維持について分子機構の解明に取り組んでおり、発癌モデル実験に供する遺伝子改変マウスの作出に成功した。これは本研究の根幹をなすものであり、提示した仮説の検証に必須である。大腸癌におけるDYRK2の腫瘍抑制についても、さらに幾つかの機構を想定して研究が進んでおり、来年度以降の成果が期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
DYRK2の発癌制御と幹細胞化との関わりについて様々な癌種で示すことが今後の課題であり、引き続き幹細胞性維持におけるDYRK2の役割について、研究を進めていきたい。すでに本研究の根幹をなす遺伝子改変マウスを用いたin vivo実験を開始しており、実験系の妥当性を評価している。
|
Research Products
(5 results)