2020 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン化を標的とした細胞死と細胞老化誘導による小細胞肺がん新規治療法の探索
Project/Area Number |
20H03535
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田島 健 順天堂大学, 医学部, 講師 (50384102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和久 順天堂大学, 医学部, 教授 (80245711)
高橋 史行 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70327823)
柳下 薫寛 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (80781674)
眞鍋 理一郎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (30280837)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小細胞肺がん / ユビキチン‐プロテオソーム経路 / SKP2 / 細胞周期 / 細胞老化 / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「長期にわたり新規治療法が開発されていない小細胞肺がんにおける、新規治療標的の同定ならびにその機能解析」である。小細胞肺がんは他の悪性腫瘍に比較して遺伝子変異頻度が高く、ゲノム不安定性が発がんや進展に関与していると考えられ、ゲノム不安定性の素因となるDNA損傷応答の破綻、すなわちがん抑制遺伝子の関与が示唆され、事実TP53やRB1では100%近くこの経路の失活がみられる。小細胞肺がんは明確なドライバー遺伝子変異はもたず、がん抑制遺伝子の破綻に基づき発がんや進展するものと考えられ、従来の網羅的遺伝子解析から新たな治療標的の同定には至っておらず、新たな着眼点が必要であると考えられる。そこで本研究では、網羅的な遺伝子機能解析が可能なProject Achillesのデータベースを駆使し、小細胞肺がんで依存度の高い分子としてE3ユビキチンリガーゼ複合体の構成分子であるSKP2/CKS1Bを同定した。①実際の小細胞肺がん細胞株においてSKP2/CKS1Bへの依存度が高いことの証明。②小細胞肺がんにおいてSKP2/CKS1Bへの依存度が高いメカニズムの解明。③新たな治療標的としての可能性さらに新規診断マーカーとしての可能性を検討し、今後の臨床応用の可能性を探る。 本年度は、①、③計画に対して研究を進め、小細胞肺がん細胞株においてSKP2/CKS1Bへの依存度が高いことを明らかにした。更に臨床検体を用いてSKPの発現を確認したところ、核内に強く染色されることが確認され、非小細胞肺がんの臨床検体と比較することにより感度・特異度を検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に対して研究を進め、本年度は抗がん剤感受性試験により小細胞肺がん細胞株においてSKP2/CKS1Bへの依存度が高いことを明らかにした。更に臨床検体を用いてSKPの発現を免疫組織染色により確認したところ、現在用いているSKPに対する抗体により核内に強く染色されることを確認し、臨床診断マーカーとしての可能性を明らかにした。これらの結果から計画に則り研究は進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
①②小細胞肺がん細胞株を用いてSKP2/CSK1Bのノックダウンまたはinhibitorを使用し、細胞死または細胞老化が誘導されるか検討する。まず細胞周期の評価をFucciベクター(Cdt1に赤色蛍光タンパク質、Geminin に緑色蛍光タンパク質を結合)のシステムを導入し、Fucciを用いた細胞周期の確認を行う。SKP2の基質は細胞周期に関わる重要な因子を中心に多岐に渡るため、論文上で検索し得るSKP2の基質の発現をWBにより比較する。更にFucciベクターを感染させた小細胞肺がん細胞株をマウスに皮下移植し、腫瘍容積が100mm2に達した時点でSKP2阻害剤の投与を開始し、細胞周期、抗腫瘍効果ならびに細胞老化の誘導の有無を検証する。 ③小細胞肺がん細胞株では、他の悪性腫瘍細胞株と比較してSKP2が高発現することを確認しているが、さらに臨床検体でSKP2の免疫組織染色を施行して確認する。小細胞肺がん、ならびに非小細胞肺がんのtissue microarrayを用いて、SKP2と日常臨床で使用されている神経マーカーであるSynaptophysin、Chromogranin A、CD56と感度、特異度を比較する。
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