2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of anticancer drugs targeting the mutated cancer genome
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20H03540
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
永瀬 浩喜 千葉県がんセンター(研究所), がん遺伝創薬研究室, 研究所長 (90322073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIN JASON 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ がん遺伝創薬研究室, 研究員 (80774124)
山本 清義 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ がん遺伝創薬研究室, 研究員 (80783521)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DNA副溝結合化合物 / ゲノム創薬 / 分子標的治療 / 効果副作用予測 / 腫瘍特異性 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
がん特異的で正常細胞には無い特性を標的とするがんゲノムエピゲノムの特異的変異標的治療薬の開発に取り組んだ。特にDNA2重らせん副溝でゲノムDNA配列に特異的に結合する化合物(MGB:minor groove binder)の自動合成法を独自に開発し、様々な機能性低分子との複合体PDCを合成、その臨床応用に向け研究してきた。本課題では、がんゲノム・エピゲノムのがん特異的な変異を標的にした新たな抗がん治療法の開発に以下の4つの視点から取り組み、研究成果を得ている。 1.ゲノム標的転写制御:プロモータ、エンハンサー等における転写阻害もしくは促進、コーディング領域での転写阻害、複数領域・遺伝子を標的化した制御には、PIK3CA、TGFβ遺伝子標的治療薬の論文報告を行い、ALK、MYC、RA、Wnt標的薬の研究を進めた。 2.エピゲノム制御:ヒストン修飾酵素阻害、DNAメチル化制御、スーパーエンハンサー制御、ミトコンドリアゲノム制御には、転写因子の新規制御系の開発、ヒストン修飾酵素阻害剤送達化合物MGBライブラリ-の機能予測、ミトコンドリア標的治療の研究を進め、ミトコンドリア標的薬の論文報告を行った。 3.薬物動態制御:腫瘍集積性、代謝・排泄コントロール、がん微小環境への影響には、皮膚透過性を得る化合物を合成でき、さらにがん周囲微小環境中の正常細胞への核酸移動に関する研究を行い、がん微小環境を含めた治療法の可能性を研究し、論文投稿を行った。 4:薬効予測:ゲノム結合部位と遺伝子発現等表現型から機械学習による薬効、副作用の予測には、ゲノムDNA配列認識化合物によるゲノム結合部位、遺伝子発現制御、副作用予測に関する総説をまとめBiomolecules誌に報告し、さらに精度を向上させるため既存の薬剤効果・副作用・遺伝子発現制御に関するデータベースからのデータ取得クリーニングを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、がん特異的ゲノム・エピゲノム変異標的薬剤候補において高腫瘍効果が確認でき、さらに副作用予測にも一定の成果を得、論文報告に至っている。また新規のミトコンドリア標的治療の可能性も確認でき、論文報告に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、開発中の薬剤候補をさらに汎用性の高い多くのがんで有効な薬剤として開発できないかを検討するとともに、臨床応用に向けた概念実証(POC)の取得を複数の薬剤候補化合物で確認する実験を行い、臨床試験に向けての準備を進めて行きたい。またミトコンドリア標的治療に関する抗腫瘍効果の機序解明を行うことで、より効果が期待できる患者を選択した上での治療戦略が出来ないかを検討していく。
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