2020 Fiscal Year Annual Research Report
miR依存ゲノム編集システムをコードした脳腫瘍治療用組換えウイルスの創出
Project/Area Number |
20H03559
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 亨 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30270573)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳腫瘍 / ゲノム編集 / miR / 組換えウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
正常神経幹細胞 (NSC)で発現しグリオーマ幹細胞(GIC)で発現のない3種類のマイクロRNA(miR)の相補配列をそれぞれCas9直下に組み込んだmiR依存的にCas9を発現するレンチウイルスベクターを作製した。次にmiR依存Cas9発現レンチウイルスベクターに、GICの維持に必要不可欠な転写因子SOX2に対するガイドRNA(gRNA)を挿入し、GIC特異的に傷害するゲノム編集レンチウイルスベクターを構築した。本ゲノム編集レンチウイルスベクターの機能を確認するために、2種類のGICにゲノム編集レンチウイルスベクターを導入しその効果を検討したところ、SOX2の著減と細胞増殖阻害を確認した。一方で、本ゲノム編集レンチウイルスベクターをトランスフェクションした正常ヒト神経幹細胞では標的因子の発現と細胞増殖に影響がないことを確認した。 ゲノム編集レンチウイルスベクターとパッケージング遺伝子を用いて組換えレンチウイルスの作製を試みたが、組換えレンチウイルスを取得できていない。ポジティブコントロールとして用いたレンチウイルスベクター(ウイルスゲノムサイズ6.6kbp)とパッケージング遺伝子の組み合わせにより組換えレンチウイルスが産生されることを確認していることから、ゲノム編集レンチウイルスベクター(ウイルスゲノムサイズ8.3kbp)のゲノムサイズが組換えウイルスの産生に影響していると考えられる。そこで、ゲノム編集アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターをベースとしたmiR依存的にゲノム編集するAAVを新たに構築した。ゲノム編集AAVベクターをトランスフェクションしたGICの細胞増殖低下とSOX2タンパク質の減少を確認した。一方で、同ベクターを導入した正常神経幹細胞には影響は観られなかった。更に、上記ベクターを用いて産生したゲノム編集AAVがGICの増殖を阻害することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組換えレンチウイルスを構築する予定であったが、より感染力の強いアデノ随伴ウイルス(AAV)を使ったmiR依存ゲノム編集が可能であることを確認することができた。AAVはすでに遺伝子治療にも使われており、レンチウイルス に比べて本研究結果を臨床応用できる可能性が高くなった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、miR依存ゲノム編集AAVの抗腫瘍効果を確認することを今後の目的とする。また、本システムを利用可能な癌種の探索と実験的な検証を進め、適用できる癌種を決定する。
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Research Products
(1 results)