2021 Fiscal Year Annual Research Report
Positioning and differentiation of new neurons in the post-stroke brain
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20H03565
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
金子 奈穂子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (20464571)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニューロン新生 / 脳室下帯 / 脳梗塞 / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
1)新生ニューロンの移動・定着場所と分化、成熟の組織学的解析 (ⅰ)神経幹細胞の細胞系譜が持続的にtdTomatoで標識されるマウスラインにDcx-EGFPマウスを交配して得たマウスの脳室下帯から、蛍光活性化セルソーティング(FACS)を用いて新生ニューロン、神経前駆細胞、神経幹細胞を分取し、野生型マウスの脳梗塞後の線条体に移植した。5週間後、または10週間後に還流固定し、脳切片を作成して、標識細胞のうち成熟ニューロンのマーカーであるNeuNを発現する細胞の分布、形態、ニューロンのサブタイプのマーカータンパク質の発現を、免疫染色法を用いて解析した。 (ⅱ)内在性新生ニューロンの細胞系譜の追跡 薬剤依存的に新生ニューロンの細胞系譜を標識することができる遺伝子改変マウスを用いて、脳梗塞モデルを作製し、18日後に還流固定して、脳梗塞後の脳内における脳室下帯由来新生ニューロンの細胞系譜の分布・増殖・分化の解析を開始した。 2)新生ニューロンのシングルセル遺伝子発現解析 脳室下帯から新生ニューロンをFACSで分取して、脳梗塞後の脳室下帯外側に移植した。2日、または1週間後に線条体から蛍光標識細胞をFACSで分取し、10xGenomics社のChromiumコントローラーを用いてシングルセルcDNAライブラリーを作製した。対照群として、同様に脳室下帯組織からFACSで分取した未移植の新生ニューロンを用いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
梗塞後の脳内に移植した脳室下帯由来細胞は、予想された以上に広範囲に分布し、また細胞の定着部位が移植時の分化状態によって異なることが分かった。しかし、定量解析のために全領域について共焦点顕微鏡で撮像する必要があり、予想以上に時間を要したため、一部の解析は次年度に持ち越すことになった。 本年度の実験計画においては、前年度に開始したFACSを用いた細胞分取が鍵となっていた。幼若マウスの脳室下帯から新生ニューロン、神経前駆細胞を分取する実験は、順調に進んだが、脳梗塞によって繊維化した線条体から移植した細胞をシングルセルに分離する過程の検討に期間を要した。しかし、年度末にようやく細胞の分取に成功して、シングルセルのcDNAライブラリーを作製することができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度より異動して研究室を運営する。新たな環境で、前年度に引き続いて同様の実験を行うために、必要な備品、物品を速やかに購入し、研究環境の整備を行う。また、動物の飼育、手術環境や機器の変化が実験結果に与える影響を慎重に検討しながら研究を進める。今年度にやや進行が遅れた解析について、撮像・解析法を再検討して加速させる予定である。
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Research Products
(12 results)