2020 Fiscal Year Annual Research Report
脳内免疫システムの破綻がもたらす脳発達障害の病態機序の解明
Project/Area Number |
20H03570
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
田辺 章悟 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 神経薬理研究部, 室長 (40772166)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳発達障害 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達期に脳内炎症が生じることで異常な神経回路が形成され、自閉症や多動性注意欠陥障害などの神経症状が伴うことが広く知られている。本研究では、脳発達期における髄膜内の炎症が脳発達障害を引き起こす分子メカニズムの解明を目的としている。そこで、脳発達期の髄膜内炎症モデルを作製し、成熟後に複数の行動学的な解析を行った。その結果、一部の行動において顕著な神経症状を呈することを見出した。神経症状に関わる免疫系細胞の同定やその分子メカニズムを解明するため、フローサイトメトリーによる浸潤した免疫系細胞の同定、RNAseqによる遺伝子発現プロファイリング、免疫組織化学法による神経活動が変動する脳領域の同定を行った。その結果、脳発達障害の発症に関連する免疫系細胞の種類や脳領域を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までに、脳発達障害の異常行動を引き起こす免疫系細胞の種類や異常行動に関わる脳領域を特定した。この進捗状況は当初の計画以上の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、免疫系細胞が異常な神経回路を形成させる分子メカニズムを解明していく。RNAseqの結果や細胞培養実験により異常な神経回路の形成に関わる遺伝子を絞り込む。さらに、Cre-loxPシステムを用いて免疫系細胞特異的に遺伝子を欠損させ、炎症による異常な神経回路形成や神経症状が抑制されるのかを検証していく。
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