2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on cathepsin K as a new target for treatment of sarcopenia associated with cachexia
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20H03574
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
葛谷 雅文 名古屋大学, 未来社会創造機構(医), 教授 (10283441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 哲 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (30745112)
朴 麗梅 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (60867208) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 悪液質 / サルコペニア / カテプシン / 悪性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
8週齢のC57BL/6Jマウスの側腹皮下にマウス肺癌細胞株(Lewis lung carcinoma, LLC)を移植 (50万細胞/50μl)し、経時的に体重、筋力、持久力などを測定し、移植4週間後に血清、下肢骨格筋を採取し、生化学的ならびに遺伝子解析、さらに免疫組織的な解析を実施した。LCC移植後経時的に血清の炎症性サイトカイン(IL-6, TNF-α) の上昇、腫瘍の増大、体重の減少、筋力ならびに持久力の低下、下肢筋肉量の低下を認めた。下肢筋肉の種々の検討ではカテプシンK(Cat-K)陽性筋繊維数、筋肉でのCat-K mRNA発現、血清Cat-Kレベルの著しい経時的な増加をLLC移植マウス(悪液質モデル)で認めた。LCC移植後、下肢骨格筋肉におけるCat-K, MuRF1(ユビキチンリガーゼ)のタンパク発現は増加し、IRS-1発現、PI3K、AKTならびにmTORのリン酸化は著しく減少した。 Cat-K遺伝子欠損マウス(Cat-K KO)ではLCC移植後、野生型に比較し腫瘍の大きさには変化を認めなかったが、体重ならびに骨格筋量、筋力の減少は抑制された。筋肉評価ではKOマウスでは上記野生型で認められた筋肉内での各種mRNA、タンパク質の変化が抑制された。一方で血清の炎症性サイトカイン(IL-6, TNF-α)のレベルには有意な影響を与えなかった。 以上よりCat-K は腫瘍によると思われる全身の炎症には影響を与えなかったが、筋肉内部での筋タンパク質の同化に関わるシグナルの抑制、さらには異化に関与するシグナルの増強に大きな影響を与え、サルコペニア誘導に関わることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に沿って実施できた。 また申請時の想定通りの結果を導くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年に行ったがん悪液質に伴うサルコペニアの研究は順調に進んでおり、当初の我々の推測通りCat-Kによりがん悪液質の炎症反応が増強し、骨格筋萎縮が進行することを明らかにすることができた。 今後はそのメカニズムを明らかにするためにマウス筋芽細胞株であるC2C12細胞を用いて、炎症性サイトカインによるCat-Kの高発現誘導に関するメカニズム、さらにはCat-Kの高発現により何故骨格筋の萎縮が起こるか、筋たんぱく質同化、または異化への影響、アポトーシスの関与を分子レベルで明らかにする。そのために種々の高発現プラスミドならびにsiRNAを作成し検討する。 さらに、がん悪液質モデル以外の悪液質モデルに伴うサルコペニアにおいてもCat-Kが同様に何らかの役割を果たす否かを検証する。具体的には腎不全モデルを使用することを考えている。
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