2021 Fiscal Year Annual Research Report
孤発性ALSにおける凝集型TDP-43の生体内伝播メカニズムの解明
Project/Area Number |
20H03589
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井口 洋平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (80790659)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐橋 健太郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90710103)
勝野 雅央 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50402566)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | TDP-43 / ALS / 凝集タンパク伝播 / ニューロン / オリゴデンデロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者らはCre発現マウスとAAV-CMV-FLEXベクターを用いることによりTDP-43の生体内における細胞間伝播の検証を行った。CamKII-Creマウス一側海馬にAAV-CMV-FLEX-TDPmNLS(細胞質発現型)-GFPベクターを投与し注入側海馬からの繊維連絡のある遠隔領域にTDP-GFPの発現を確認し、AAV-CMV-FLEX-TDPmNLSmRRM(細胞質凝集型)-GFPを注射したマウスでは注入側海馬近傍の脳梁におけるOLG内にTDP-GFPの発現が観察された。また、同様にCamKII-Creマウスの一側一次運動野へAAVを投与すると細胞質発現型TDP-43では対側の運動野に多くのTDP-GFP発現が確認され、凝集型TDP-43ではやはり脳梁のOLGにTDP-GFP発現を認めた。細胞質発現型のTDP-43はシナプス間の伝播により繊維連絡のある遠隔領域へ、より凝集性の強いTDP-43は遠隔への伝播は困難であるがN-O間に伝播しやすい可能性が示唆された。さらに、ChAT-Creマウスの脊髄前角においても運動ニューロンからOLGへのTDP-GFP伝播を確認することができた。しかし、通常のマウス脳へのAAV投与実験ではニューロンからOLGへのTDP-GFPの伝播はニューロン間に比し僅かしか認めなかった。TDP-43伝播を修飾する因子を検討するためDREADDs を利用して神経活動を活性化してTDP-43伝播への影響を評価した。一側一次運動野へ細胞質凝集型TDP-43を投与後、神経活動を活性化させると脳梁におけるOLGに多くのTDP-GFPが確認された。神経細胞の活動状態によりTDP-43の細胞間伝播が影響を受ける可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AAVとCreマウスを用いてマウス生体内におけるニューロン間、ニューロンーOLG間の伝播をさまざまな脳・脊髄領域で確認することができ、またTDP-43の細胞間伝播における神経過活動の影響を検証することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はさまざまな脳領域におけるTDP-43の細胞間伝播を神経の活動性を制御してその影響を検証する。上位ー下位運動ニューロン間の伝播は確認できていないのでさらに観察期間を伸ばし、さらにニューロンの興奮性を制御して検証を進める。
|
Research Products
(8 results)