2020 Fiscal Year Annual Research Report
ALS原因蛋白による液液相分離の機能構造連関とその病理的意義の解明
Project/Area Number |
20H03593
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
金蔵 孝介 東京医科大学, 医学部, 講師 (10508568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早水 裕平 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (80443216)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ALS / LLPS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はLLPSを起こすALS原因蛋白に対して集中的な構造機能解析を行い、LLPS制御の分子機構を明らかにすることで、LLPS異常によるALS発症解明の端緒となる知見を得ることを目指すものである。2020年度は以下の通り実験を進めた。(1-1) C9orf72ジペプチドのLLPSがどのように形成されるかを分子動力学的計算と生化学的技術、無細胞翻訳系を用いた評価およびプロテオミクスを用いて明らかにし、C9orf72ジペプチドのArgに由来する電荷の位置がLLPSを制御しており毒性に必須であることを解明した。現在投稿中である。(1-2) TDP-43について小化合物によりLLPSを誘導する新規実験系を確立した。本実験系により誘導されるTDP-43凝集体は生化学的な解析により、ALS患者で見られる不溶性画分への移行やFUS陽性、p62陽性など特徴をよく模倣していることを確認した。また今後哺乳類モデル動物にも応用予定である。本結果は、現在投稿中である。(1-3) C9orf72ジペプチドおよびTDP-43についてはプロキシミティラベリング法の準備が終了し、近傍分子のビオチン化が正しく起こることを確認したため、現在プロテオーム解析にて解析中である。(1-4) 蛍光共鳴エネルギー移動FRETを用いたALS原因蛋白質の液滴内環境の可視化についても、我々は新規バイオセンサーを開発し、液滴内の混雑さを検出することに成功し、現在投稿中である。これらの研究により、ALS原因蛋白がどのようにして相分離し、その相分離した液滴内環境がどうなっているかの解明につなげたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2020年度は以下の通り実験を進めた。(1-1) C9orf72ジペプチドのLLPSがどのように形成されるかを分子動力学的計算と生化学的技術、無細胞翻訳系を用いた評価およびプロテオミクスを用いて明らかにし、電荷がLLPSに果たす役割を解明し、現在投稿中である。(1-2) TDP-43について小化合物によりLLPSを誘導する新規実験系を確立した。本実験系により誘導されるTDP-43凝集体は生化学的な解析により、ALS患者で見られる特徴をよく模倣しており、また今後哺乳類モデル動物にも応用可能である。本結果は、現在投稿中である。(1-3) C9orf72ジペプチドおよびTDP-43についてはプロキシミティラベリング法の準備が終了し、近傍分子のビオチン化が正しく起こることを確認したため、現在サンプルを調整し、プロテオーム解析にて解析中である。(1-4) 蛍光共鳴エネルギー移動FRETを用いたALS原因蛋白質の液滴内環境の可視化についても、我々は新規バイオセンサーを開発し、液滴内の混雑さを検出することに成功し、現在投稿中である。上記のように、予定以上に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は昨年度投稿した論文の研究を継続しC9orf72ジペプチドのLLPSを介した毒性機構を解明するとともに、以下の研究を進めていく。(2-1)プロキシミティラベリング法によるLLPS内分子の網羅的解析を行う。また(2-2)分子動力学的計算について、GROMACSを用いた計算によりC9orf72ジペプチドの結合エネルギーの評価を行なったが、より大規模な計算が必要なFUSやTDP43についても継続して行う。また、(2-3)ラマン分光法を用いた液的形成内の分子間相互作用の評価や(2-4)大脳オルガノイドモデルの作成についても進めていく。大脳オルガノイドモデルにおいて我々が樹立した小化合物によるLLPS誘導についても試行する予定である。
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Research Products
(9 results)