2021 Fiscal Year Annual Research Report
前頭側頭型認知症における「RNA代謝リレー障害」仮説の実証
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20H03602
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 康治 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40775318)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | C9orf72 / 近位ビオチン化法 / 前頭側頭葉変性症 / RNA結合タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
C9orf72リピート伸長変異は家族性前頭側頭葉変性症(前頭側頭型認知症)および筋萎縮性側索硬化症の主要な原因遺伝子変異である。C9orf72リピート伸長変異ではイントロン領域におけるGGGGCCリピートの異常伸長が認められ、このリピートはセンス鎖方向、アンチセンス鎖方向の両方向性に転写され、リピート関連開始コドン非依存性翻訳(RAN翻訳)と呼ばれる特殊な翻訳により病原性のジペプチドリピートタンパク質へと翻訳される。我々はこれまでGGGGCCリピートRNA結合タンパク質であるhnRNPA3がリピートRNAの代謝を促進することを見出し、様々な系で実証してきた。本年度は、野生型hnRNPA3およびRNA結合ドメインに変異を有するhnRNPA3のカルボキシ末端にアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APEX2)を付加したプラスミドを作成した。APEX2は近位ビオチン化法にしばしば用いられる遺伝子改変酵素の一つで、過酸化水素とビオチンフェノールの存在下において、極近傍に存在する物質をビオチン標識する。本研究ではhnRNPA3-APEX2を培養細胞にトランスフェクションし、近位ビオチン化法によりhnRNPA3の近隣に位置する物質を網羅的にビオチン化した。そしてビオチン化タンパク質をアビジンビーズを用いて精製し、ビオチン標識されたタンパク質を質量分析法により網羅的に同定した。次年度はこれらの因子がhnRNPA3によるGGGGCCリピートRNA代謝に関与している可能性について機能解析を行う。成果の一部については、日本神経化学会や日本認知症学会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な条件検討により適切と考えられる近位ビオチン化アッセイ条件の確立に成功し、hnRNPA3の近傍に位置するタンパク質の網羅的同定に既に成功しており、有望と考えられる候補分子をいくつか見出しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はこれらの因子がhnRNPA3によるGGGGCCリピートRNA代謝に関与している可能性について培養細胞モデルや患者由来細胞を用いた機能解析および検証実験を行っていく。
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] A novel modulator of RAN translation in C9orf72 FTLD/ALS2021
Author(s)
Shiho Gotoh, Kohji Mori, Tomoko Yamashita, Yuya Kawabe, Tsubasa Omi, Tesshin Miyamoto, Ryota Uozumi, Shizuko Kondo, Manabu Ikeda
Organizer
第64回日本神経化学会大会, 一般演題(口頭), 奈良・オンライン 2021.9.30
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