2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of monoaminergic biomarkers for the treatment of schizophrenia with direct current stimulation
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20H03610
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
住吉 太幹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部, 部長 (80286062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中込 和幸 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 院長 (30198056)
高野 晴成 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 部長 (30348792)
松元 まどか 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部, 室長 (50311337)
白間 綾 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部, リサーチフェロー (50738127)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 経頭蓋直流刺激 / モノアミン / アセチルコリン / バイオマーカー / 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
経頭蓋直流刺激(tDCS)は、精神疾患の各種症状を軽減する非侵襲的なニューロモディレーションである。本研究では、統合失調症患者を対象に、ドーパミン、ノルアドレナリン、アセチルコリンの脳内活性を反映する網膜電位図、および視線追跡装置(アイトラッカー)により計測される瞳孔径律動を、tDCSの施行前後で測定・解析する。そして、比較的簡便に得られるこれらの生体指標が、精神病症状や認知機能などに対するtDCSの治療効果を予測できるか調べる。本研究の成果は、統合失調症を対象とした日常診療における、tDCSをはじめとするニューロモデュレーションの合理的な運用を促進する。 本年度は、網膜電位図および瞳孔径律動の測定系の確立を目指し、特にこれらの神経生理学的指標を簡便に得るためのポータブルで使用可能な機器を整備した。 また、統合失調症患者の高次認知機能に対するtDCSの効果を見た。方法として、国立精神・神経医療研究所センター(当センター)病院を受診した統合失調症患者28名(男/女=16/12)を対象とした。本研究は当センターの倫理委員会で承認され、参加者全員から書面による同意を得て行った。tDCS施行は既報(Narita et al, 2018)に準じた。認知機能の評価はBrief Assessment of Cognition in Schizophrenia (BACS)を用い、同バッテリーに含まれるカテゴリ(動物)流暢性課題のデータを得た。そして、これらの発話データに対しテキストマイニング分析を行い、tDCS施行前後における記憶の組織化(意味記憶構造)を比較した。結果として、ドウブツの生態や属性(捕食性や家畜、ペットなど)に基づくクラスターが、ベースライン時に比べ明確となった。以上は、tDCSが統合失調症患者の意味記憶構造どの高次認知機能を改善する可能性を初めて示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に今年度は、経頭蓋直流刺激(tDCS)が統合失調症患者の意味記憶構造の改善を示唆することを、国内外を通じて初めて見出し、結果を英文専門誌に公表できた(Sumiyoshi C et al, Facilitative effects of transcranial direct current stimulation on semantic memory examined by text-mining analysis in patients with schizophrenia. Frontiers in Neurology, 2021 Feb 11;12:583027.doi: 10.3389/fneur.2021.583027)ため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、統合失調症の症状のうち、就労・就学など機能的転帰に重要とされる各種の認知機能に対する経頭蓋直流刺激(tDCS)の効果を見る研究を発展させる。例えば、これまで主に対象としてきた神経認知機能(記憶、実行機能、注意、情報処理、語流暢性など)に加え、社会認知機能(theory of mindなど)も対象とし、患者の機能的転帰の向上に資するtDCSの作用機序を、さらに包括的に検討する。
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Research Products
(10 results)