2020 Fiscal Year Annual Research Report
レビー小体病の診断・治療に資するαシヌクレイン標的核医学イメージング法の開発
Project/Area Number |
20H03622
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 正博 京都大学, 薬学研究科, 教授 (80336180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 裕之 京都大学, 薬学研究科, 講師 (40710786)
飯國 慎平 京都大学, 薬学研究科, 助教 (70837731)
志水 陽一 京都大学, 医学研究科, 助教 (90634212)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | αシヌクレイン / イメージング / パーキンソン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
レビー小体病(Lewy body disease; LBD)はαシヌクレインタンパク質凝集体(α-syn)を主成分とする神経細胞内封入体であるレビー小体が関与する神経変性疾患であり、パーキンソン病、認知症を伴うパーキンソン病、レビー小体型認知症が含まれる。近年の高齢人口の増加に伴い、LBD罹患者は急増しており、その診断・治療法の開発が強く望まれているが、現在までに有効な方法は存在しない。本研究の目的はLBD患者脳内に沈着したα-synに特異的結合性を示す核医学分子イメージングプローブを開発し、それを用いてα-synを体外から非侵襲的に定量イメージングする方法を構築することである。我々はこれまでにα-synへの良好な結合親和性を示す化合物としてIDP-3を報告してきた。今年度、このIDP-3の化学構造に着目し、カルコン類縁体を基盤とした種々のアリール置換基の導入による構造活性相関研究を行った。リコンビナントタンパク質を用いた結合阻害実験の結果、置換基の種類がα-synへの結合親和性および結合選択性に寄与することが示唆された。化合物Xはリコンビナントα-synへの高い結合親和性および結合選択性を示し、シヌクレイノパチー患者脳切片においてα-synを選択的に描出した。さらに正常マウスにおける体内放射能分布実験を行ったところ、化合物Xの脳移行性は低値を示した。今後、化合物Xをリード化合物に選択し脳移行性を改善することで有用なα-synイメージングプローブを開発できる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにα-synの核医学イメージング法は開発されておらず、今後α-synイメージングプローブ開発研究の進展が期待されている。我々はこれまでにα-synへの良好な結合親和性を示す化合物としてカルコン類縁体を報告してきたが、βアミロイド凝集体(Aβ)に対するα-synへの結合選択性が低く、更なる構造最適化が必要であると考えられた。今年度は本誘導体のフェニル基を種々の芳香環に置換した新規化合物を設計・合成し、α-synプローブとしての有用性を基礎的に評価した。その結果、α-synへの良好な結合親和性およびAβに対する結合選択性を示すα-synイメージングプローブのリード化合物を見出すことに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、α-synに選択的な結合性を示した化合物Xを見出した一方で脳移行性を改善する必要性が生じた。今後、化合物Xをリード化合物として脳移行性を向上させる分子設計・合成を行い、インビトロおよびインビボ評価実験を継続し化合物の最適化を図ることによって、有効なα-synイメージングプローブの開発を行う。
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