2021 Fiscal Year Annual Research Report
in vivo MR顕微鏡による細胞レベルラジオミクス
Project/Area Number |
20H03623
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上野 智弘 京都大学, 医学研究科, 助教 (10379034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 直三 京都大学, 医学研究科, 教授 (20196752)
麻生 俊彦 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 副チームリーダー (50397543)
木下 政人 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60263125)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 磁気共鳴映像法 / ヒト疾患モデル / 小型魚類 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は高解像度のMRIであるMR顕微鏡の開発を行ってきた。そして、ヒト疾患モデルであるヒトの病気を発症するメダカを生きたまま、個体ごとに経時的にMR顕微鏡で可視化してきた(in vivo MR顕微鏡)。近年、医用画像の様々な情報を組み合わせ診断や予後予測の精度の改善を目指すラジオミクスが発展してきている。本研究では、開発したin vivo MR顕微鏡の解像度をさらに細胞レベルにまで高め、ヒト疾患のメダカモデルに対し、細胞レベルラジオミクスと呼べるような、高い解像度でのラジオミクスを個体ごとに経時的に行うことを目指している。本研究では、MRIから得られる多彩な物理化学パラーメータを用いたラジオミクスを行う。本年度においては、昨年度のデジタル分光器の多チャンネル化を進め、さらにDAボードの導入をおこなった。このMR顕微鏡の多チャンネル化は、既存機に受信用チャンネルを増設する形で行っているが、この既存機に不具合が生じていたため、原因の特定を行い、修理を開始した。同時に、多彩な物理化学パラーメータを取得するために、MR顕微鏡での高速撮像を可能とする圧縮センシングを導入し、撮像時間の短縮を実現した。また、ヒト疾患メダカモデルを経時的に可視化して、個体ごとの追跡を行うために、メダカの個体ごとの成長を均質化させる手法と、それぞれの個体を非侵襲的に飼育環境下で区別する個体識別の方法の確立を行ない、データをまとめ、その論文の執筆を開始した。昨年度見出したヒト疾患メダカモデルでの脳の形態変化の新たな知見について、MR顕微鏡での撮像データの高精度化、高解像度化を行うとともに追試を行なった。認知症を発症させる原因と考えられるタウオパチーのメダカモデルについて、以前見出されていた行動異常のデータの追試を行うとともに、解析における精密化をおこなった。精密化された解析に基づき、データをまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度も昨年度同様、コロナ感染症の対策のために、対面の制限等により、研究活動を一定範囲内で抑制せざるを得なかった。そのため、実験としてもデータ解析が中心の状態が継続することになった。さらに、MR顕微鏡の高解像度化と撮像データの高精度化を行う中で、分光器の多チャンネル化を行う基盤となる既存機に不具合を発見し、その不具合の原因の特定や修理に時間を要することとなり、ハードウェアに関する進捗がやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、コロナ感染症による対面の制限等による研究活動の抑制や多チャンネル化の基盤となる改造と増設を施した既存機の不具合によるハードウェアに関する進捗がやや遅れている。そこで、遅れているハードウェアに関する研究とこれまでに得られた新たな知見の論文化に比重を置いて研究を推進することを基本方針とする。 昨年度までに改造と増設を行なった分光器、高速高分解能の多チャンネルADボード、DAボードを用いたMR顕微鏡の分光器2チャンネルのFPGAによる高速信号取得と信号処理のシステムの構築の完成を目指す。これにより、分光器の受信部でのデジタル2チャンネル化を完成させる。併せて、分光器の2チャンネル化に対応した送受信コイルの2チャンネルコイルシステムの完成を目指す。 また、昨年度までに行ったメダカモデルでの成長の均質化と個体識別法の確立の2つについて、まとめたデータをもとに論文化を行う。加えて、認知症を発症させる原因と考えられるタウオパチーのメダカモデルについて、データをまとめるとともに論文化を目指す。さらに、メダカ疾患モデルでの脳の形態についての知見に対するデータの増強を行うとともに、データをまとめていく。 メダカモデルでの成長の均質化と個体識別法を用いて、メダカのヒト疾患モデルでの経時的変化をMR顕微鏡で撮像して個体ごとの追跡を行うとともに、MR顕微鏡の高解像度化と物理化学的パラメータの定量化によるラジオミクスを行い病態進行の過程を明らかにすることを目指す。同時に、病理切片による疾患状態の解析を行う。
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