2020 Fiscal Year Annual Research Report
半導体SPECTの急速的普及を果たすTlBrガンマ線イメージングアレイの開発
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20H03629
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
小野寺 敏幸 東北工業大学, 工学部, 准教授 (10620916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
人見 啓太朗 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60382660)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TlBr / 臭化タリウム |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の目標は、初めての試みとなるTlBrの成型体を製作し、まずはプレス成型したTlBrのデバイス特性を判断することであった。専用金型治具とプレス成型装置を用いて各種条件下(プレス圧力:最大5kN、雰囲気:1Pa、Ar)でTlBr結晶の高圧プレス成型試料を製作し、基礎検討に必要な知見を得た。成形原料には、純度99.99%のTlBr粉末および独自に結晶成長させたTlBrの単結晶を用いた。成形体の形状は20mmx20mmとし、厚さは約2mmであった。プレス圧力:5kNにおいて成型体の相対密度が約95%程度まで上昇し、再現性(n13)も得られた。X線回折による評価の結果、TlBr単結晶およびTlBr粉末ともに成型体は、単結晶には至らなかったが、(211)、(111)が主要な結晶方位を示す強い傾向がみられた。成型体を400℃まで昇温させた結果、室温成型体よりもTlBr結晶の可視光透過性が改善し、結晶性の改善が推測できた。また、この成型体から5mmx5mmの試料を切り出し、両面に金電極を持つガンマ線センサを試作した。その結果、同様のTlBr原料を用いて通常の融液成長で育成したTlBr結晶と同等のガンマ線応答特性を示した。当初からプレス成型では結晶性が著しく低下することが容易に考えられていたが、成型体全体に亘り特定方位に配向する傾向が生じる現象は想定外でありデバイス化にとって有望といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症の蔓延による諸事情によりプレス成型装置の購入計画が大幅に遅れてしまった。検討内容の遅れを取り戻すため、製造メーカに出向き集中的に実験を進めた結果、次年度につながる知見が得られ、当初の研究計画を軌道に乗せることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
プレス成型体であるが、TlBrはガンマ線センサとして動作することが明確になった。2021年度は、成型原料に独自精製した高純度TlBrを使用し、デバイス特性の向上を目指す。また、アニール炉を用いて成型後のTlBrに含まれる応力を緩和させる条件を見出す。
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