2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of PET probes for gama 8-dependent transmembrane AMPA receptor regulatory protein
Project/Area Number |
20H03635
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
張 明栄 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 部長(定常) (80443076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
胡 寛 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 博士研究員(任常) (00827678)
謝 琳 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 主任研究員(定常) (30623558)
河村 和紀 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, グループリーダー(定常) (50401766)
藤永 雅之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 主任研究員(定常) (70623726)
山崎 友照 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 主任研究員(定常) (80627563)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | AMPA受容体 / 膜貫通AMPA受容体調節性タンパク質-γ8 / PET / オートラジオグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
AMPA受容体は中枢神経系に広く分布し、記憶や学習等に大きく関与する。また、AMPA受容体は本体サブユニットとその活性を制御する補助サブユニットからなる。現在臨床で使用されるAMPA型阻害剤は主に本体サブユニットに対して非競合的な拮抗作用を示すため、高い治療効果と同時に顕著な副作用も生じやすい。一方、補助サブユニット膜貫通AMPA受容体調節性タンパク質(TARP)は本体サブユニットと特異的に結合し、 AMPA受容体発現量、シナプス局在、 チャネル活性を制御する。近年、TARPの機能解明や阻害剤開発の研究が活発になりつつある。特にそのアイソフォームの1つで、海馬に限定的に存在するTARP-γ8を選択的に結合する阻害剤は、海馬における興奮性亢進を抑えることにより、副作用を軽減しながら、運動障害、双極性障害及びうつ病に対する高い治療効果が期待される。しかし、TARP-γ8の機能が必ずしも明確でないなどの理由から、それらの阻害剤の臨床開発は遅れている。また、機能解明や治療薬開発の研究に役立つ、ヒト脳内TARP-γ8を画像化できるPETプローブは開発されていない。本研究では、申請者らはTARP-γ8を標的とするヒト有用のPETプローブを開発することを目的とする。 今年度申請者らは、10種以上の新規化合物を設計し、化学合成を行なった。その中から、TARP-γ8 に対して、高い結合能力と選択性を有する数種の化合物を見いだした。また、これらの化合物に対し種々な標識技術を用い、11Cで標識し、自動合成装置でPETプローブを合成した。 さらに、これらのプローブに対し、マウスやラットを用い、放射能分布、オートラジオグラフィー(ARG)、PET及び代謝物分析などを行い、PETプローブとしての特性を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、申請者らは12種の新規化合物を設計し、合成を行った。その中から、有用な新規PETプローブとして[11C]MPPOを見出すことに成功した。[11C]MPPOはマウス及びラットへの脳移行性が認められ、また、インビトロ ARGにおいては、脳内で一定の特異結合を示した。この結果から、[11C]MPPOはTARP-γ8のPETプローブ開発のLead Compound になりえることが明らかとなった。以下詳細に記す。 1.化合物設計と化学合成: TARP-γ8タンパク質の立体構造と先行論文で報告されたTARP-γ8結合に必要な化学構造に基づき、計算化学などの手法を用いて、TARP-γ8と選択的に結合できる新規化合物を11種設計し、合成した。 2.インビトロ活性: 上記の新規化合物がTARP-γ8に対する阻害活性及び他のサブタイプへの選択性を測定し、また、脂溶性、トランスポーター活性などの物理化学性質を考慮したうえ、4種の標識化合物候補を選出した。 3. 標識合成: サイクロトロンより製造される11Cと18Fを用い、自動合成装置で標識合成を行い、4種の[11C/18F]PETプローブ候補を得た。 4. 有用性評価: まず、正常ラット脳の凍結切片を作製し、[11C/18F]プローブとインキュベートを行った後に、脳切片上の放射能を測定し、インビトロARG画像を得た。次に、 [11C/18F]プローブをマウスとラットに投与し、マウス全身臓器における放射能分布及びラット脳PET測定を行った。 その結果、新規PETプローブ候補として [11C]MPPOを見いだすことに成功した。[11C]MPPOはPET試験では脳移行性を有し、インビトロARGでも、脳内で一定レベルの特異結合と選択性を示した。従い、申請者らは[11C]MPPOをベースにして、臨床有用なPETプローブを見出す可能性が高いと考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
[11C]MPPOをLead Compound として、継続して計算化学などの手法を用いて、誘導体化合物のデザインと化学合成による構造最適化を進めつつ、in vitro/in vivoにおいてTARP-γ8に対する高い阻害活性及び選択性を有する化合物を探索する予定である。また、これらの新規化合物がTARP-γ8に対する阻害活性及び他のサブタイプ(ユニット)への選択性を測定しつつ、脂溶性、トランスポーター活性などの物理化学性質を考慮し、標識化合物候補を取得する予定である。さらに、有望な標識化合物候補に対して、所属研究部で製造、使用可能な放射性合成中間体である[11C]CH3I、[18F]F-、[11C]CN-、[11C]COCl2、[18F]FEtBrなどを駆使して標識合成を行い、各種のPETプローブを得る。また、[11C]CH3IによるC-11Cカップリング及び18Fをベンゼン環に直接導入する技術を利用し標識合成も実施する予定である。以後、ラットin vitro ARG、屠殺法によるマウス放射能分布、ラットPET及びマウス代謝物分析などの手法により、[11C]MPPOより優れる性質を有するPETプローブ候補を見出す予定である。また、これらの有用なプローブ候補に対して、AMPAだけでなく、NMDA/カイニン酸型のイオン型グルタミン酸受容体と代謝型グルタミン酸受容体に対する選択性など詳細のプロファイルを調べる予定である。さらに、これらの結果を用いて、ラット脳に対するPET測定を行い、プローブが脳内TARP-γ8への結合能を定量で測定し、各種の数式モデルで解析して、小動物PET定量法を確立する予定である。
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Research Products
(15 results)