2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of genetic factors and molecular pathology of neurodevelopmental disorders by a multifaceted approach
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20H03641
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
才津 浩智 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40402838)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インフォマティクス解析 / マルチオミクス解析 / 小児脳神経疾患 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)最先端のインフォマティクス解析によるエクソームデータの再解析と新規症例のエクソーム解析 新規症例78例をエクソーム解析し、37例(47.4%)で原因となる遺伝子変異あるいはコピー数異常を同定した。特筆すべき点として、エクソンーイントロン境界から12塩基離れた病的イントロンバリアントの同定に成功しており、SpliceAIとPangolinの2つのスプライス異常予測プログラムで病的と判断されていた。この解析パイプラインを用いてスプライス異常を起こしうるイントロンバリアントと効率的に抽出できることが可能となった(平均370個の稀なイントロンバリアントを30個程度の候補バリアントまで絞り込み可能)。また、再解析によって新たに2症例で病的バリアントの同定に成功した。 (2) 変異未同定例に対するマルチオミクス(全ゲノム+RNA-seq)解析 エクソーム解析で原因が同定できなかった4症例に対してWGS解析を追加施行し、3症例において原因バリアントを同定した。1例は第一エクソンのみを含んだ欠失であり、エクソーム解析でのコピー数解析では同定されておらず、コピー数異常検出における全ゲノム解析の有用性を支持する結果であった。また、2例においてはイントロンバリアントが同定され、尿細胞を用いたRNA-seq解析でスプライス異常が検出された。この遺伝子(FBN1とTCTN2)は血液ではほとんど発現しておらず、かつSpliceAIでは異常が示唆されていなかった。このことから、尿細胞を用いたRNA解析がスプライス異常を引き起こすイントロンバリアントの検出に有用であることが示された。 (3)ゲノム編集マウスによる病態解明 ヒトで同定されたCAMK2B遺伝子変異、およびATP6V0A1遺伝子変異をマウスに導入し、その病態解明を行った論文を報告することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新規症例のエクソーム解析と再解析で十分な研究成果を得ている。また、全ゲノム解析と尿細胞を用いたRNA-seq解析の解析パイプラインも確立できた。ATP6V0A1遺伝子変異のマウスモデルでの解析もNature Communicationsに報告することができており、当初の計画以上の進展を見せている。
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Strategy for Future Research Activity |
・新規症例のエクソーム解析およびエクソーム解析で原因未同定例でのマルチオミクス解析は成果を挙げているのでこのまま継続する。 ・変異マウスによる分子病態の解明では、得られた研究成果をまとめて論文報告するとともに、治療法の開発・検証を行う。
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Research Products
(21 results)