2022 Fiscal Year Annual Research Report
エピゲノム修飾因子NSD1の標的遺伝子同定に基づく精神発達遅滞の分子病態解明
Project/Area Number |
20H03643
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
副島 英伸 佐賀大学, 医学部, 教授 (30304885)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ソトス症候群 / NSD1 / コンディショナルノックアウトマウス / DNAメチル化 / ヒストン修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗NeuN抗体を用いたセルソーティングにより、脳特異的Nsd1コンディショナルノックアウトマウス(Nsd1-cKOマウス)の海馬から成熟神経細胞核を分取した。これらの細胞核を用いて、Cut&Tag法にてゲノム網羅的なヒストン修飾(H3K27Ac、H3K27me3、H3K36me2、H3K36me3)を解析した。加えて、昨年度までに行った全ゲノムDNAメチル化解析(EM-seq)とトランスクリプトーム解析(RNA-seq)のデータも一部統合して解析した。Controlと比べてNsd1-cKOマウスでは、遺伝子間領域でH3K36me2の低下、H3K27me3の上昇、DNAメチル化の減少を認めた。Nsd1-cKOマウスで発現が減少した遺伝子のうちトップ5を解析したところ、プロモーター領域のH3K27Acの減少を認めた。このうち2つの遺伝子では、エンハンサーと思われる領域のH3K27Acの減少とH3K27me3の上昇、およびH3K36me2の減少を認めた。一方、Nsd1-cKOマウスで発現が上昇したトップ5の遺伝子はプロモーター領域のDNAメチル化の減少を認めた。以上より、Nsd1-cKOによりエピゲノム状態が変化し、ひいてはトランスクリプトームが変化することが明らかとなった。特に、遺伝子発現低下は、プロモーター領域やエンハンサー領域のH3K27Acの減少に依存し、遺伝子発現上昇はプロモーター領域のDNAメチル化の減少に依存することが示唆された。また、遺伝子発現低下トップ5遺伝子の中には、神経細胞の生存、増殖、分化、シナプス形成、樹状突起促進に関わるとされる遺伝子が含まれており、ソトス症候群の表現型と関連する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成熟神経細胞核を用いて、Cut&Tag法にてゲノム網羅的なヒストン修飾(H3K27Ac、H3K27me3、H3K36me2、H3K36me3)を解析した。加えて、昨年度までに行った全ゲノムDNAメチル化解析(EM-seq)とトランスクリプトーム解析(RNA-seq)のデータも一部統合して解析しすることで、エピゲノム状態の変化を把握することができた。また、予備的な解析ではあるが、遺伝子発現の減少と上昇では、影響するエピゲノム変化が異なることが示唆された。さらに、ソトス症候群の表現型と関連する可能性のある遺伝子が、エピゲノム変化により発現変化を生じていることも同定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたエピゲノム解析情報(DNAメチル化、ヒストン修飾(H3K27Ac、H3K27me3、H3K36me2、H3K36me3)、トランスクリプトーム)を統合して詳細に解析することにより、NSD1の標的ゲノム領域 or 標的遺伝子を絞り込む。また、透明化技術を用いた脳深部バイオイメージング解析を共同研究で進めており、Nsd1-cKOによる細胞レベルの形態学的変化を解析する。以上より、ソトス症候群における精神発達遅滞の分子病態を明らかにする。
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Research Products
(19 results)
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[Presentation] Aberrant hypomethylation of imprinted differentially methylated regions is involved in biparental placental mesenchymal dysplasia.2022
Author(s)
Aoki S, Higashimoto K, Hidaka H, Ohtsuka Y, Aoki S, Mishima H, Yoshiura KI, Nakabayashi K, Hata K, Yatsuki H, Hara S, Ohba T, Katabuchi H, Soejima H.
Organizer
European Society of Human Genetics 2022 Hybrid Conference.
Int'l Joint Research
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