2021 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of animal disease models for intractable pediatric diseases due to defects of RNA metabolism and development of new therapeutics
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20H03644
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
花田 俊勝 大分大学, 医学部, 教授 (10363350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 礼子 大分大学, 医学部, 教授 (00343707)
西田 欣広 大分大学, 医学部, 准教授 (10336274)
疋田 貴俊 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (70421378)
井原 健二 大分大学, 医学部, 教授 (80294932)
白石 裕士 大分大学, 医学部, 准教授 (80452837)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | RNA代謝 / 疾患モデル動物 / 希少遺伝性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、RNA制御機構に関与するCLP1、Leucyl-tRNA synthetase(LARS)、VRK2遺伝子について、各々マウスモデル、ゼブラフィッシュモデルを作製して解析を行なった。CLP1は、tRNAの成熟化に重要なRNAキナーゼ分子であり、橋小脳低形成の原因遺伝子として報告されている。これまで我々はCLP1タンパク質のキナーゼ活性ドメインに変異を導入したCLP1キナーゼ活性欠損マウスにおいて、小頭症を含む神経変性疾患が生じること、その原因としてチロシンtRNA前駆体から生じるRNA断片の蓄積により神経細胞死が惹起されることを報告してきた。2014年、トルコにおいてこのCLP1遺伝子変異(p.R140H)をもつ橋小脳低形成の家系が発見された。しかし、この遺伝子変異が疾患発症の原因であるかは定かではなかった。そこで、我々はヒトと同様の変異を導入したCLP1ノックインマウスをゲノム編集により作製したところ、明らかに進行性の神経変性症を発症することがわかった。特に大脳皮質運動野における運動神経の喪失は顕著であった。さらにその分子病態機構を明らかにすべく、ノーザンブロットにより神経毒生を示すRNA断片の解析を行なったところ、発生早期において顕著に蓄積を認めた。これらの結果より、トルコで発見されたCLP1のR140H変異は、神経変性疾患の原因遺伝子であり、その発症には発達期における神経毒生RNA断片の蓄積が関与することが示唆された。本モデルマウスに引き続き、令和3年度は小児肝不全の原因遺伝子であるLARSのヒト遺伝子変異を模倣するノックインマウスおよびノックインゼブラフィッシュの作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト遺伝子変異を模倣するCLP1ノックインマウスの解析は、本学動物実験施設の改修事業により、大幅な遅れが懸念されたが、施設外飼育の迅速な設置と施設職員の多大な努力により順調に実験を進めることができた。また、CRISPR/Cas9による効率的なノックインマウスおよびゼブラフィッシュの作製法について日々アップデートしており、標的遺伝子のゲノム領域に影響されるものの、成功率を大幅に高めることに成功している。CLP1、LARS、VRK2以外には、ANKLE2 、SMG9、MTM1等のモデルゼブラフィッシュを作製しており、現在解析を進めている。また、生体内のpH変化を察知するモニターゼブラフィッシュや細胞障害により漏出するATPセンサーゼブラフィッシュ等の作製に着手しており、これらのモデルを活用してより詳細な解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、これまで作製した新規疾患モデル動物を用いて、各希少疾患の病態分子機構についての解析を行う。小児肝不全の原因遺伝子であるLARSに関しては、ヒトと同じ変異を導入したノックインマウスの樹立に成功しており、すでに表現型を認めている。このマウスは、ヒト患者と非常によく似た肝不全症状を呈しており、肝臓の解析を中心に進めながらその病態メカニズムを探る。本疾患の予後を決めるのは、いかに小児期の肝不全症状を抑えるかが鍵を握っており、その病態メカニズムの理解により、治療法の開発にも寄与できるものと考える。その他の遺伝子(ANKLE2, SMG9, MTM1)に関しても、前年度に樹立したゼブラフィッシュモデルを用いて解析する。また、今年度は当初から予定していたように、低分子化合物を用いたゼブラフィッシュのin vivoスクリーニングを開始する。この低分子化合物は、大分大学先端医学研究所小路らが独自に開発したアルカロイド化合物ライブラリーである。まずは、200種類のリード化合物を用いてゼブラフィッシュの表現型に影響を与える化合物の同定を行う。さらに、このリード化合物から合成された約8000種類の化合物を用いて、効力を発するものを絞り込む予定である。
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Research Products
(15 results)