2021 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of molecular biology of CNS leukemia
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20H03653
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 元博 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40708690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 徹 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 成育遺伝研究部, 室長 (10436107)
加藤 格 京都大学, 医学研究科, 助教 (10610454)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本来は非造血環境である中枢神経系から再発する白血病細胞は、骨髄以外でも増殖・生存できる特性を獲得していると考えられる。この白血病の骨髄非依存的な生存を可能にする分子遺伝学的基盤は何か?という問いに答えるべく、本研究では骨髄外に再発・浸潤した白血病の検体のゲノム解析を通じ、その分子病態を明らかにすることを目指している。 全エクソン・全ゲノム解析を実施した12例の急性リンパ性白血病の「骨髄外白血病」の検体から、そのうち6例に共通した新たなゲノム異常を検出した。ゲノム異常がみられた領域にある遺伝子Xは血球の生存や活性化に関与する遺伝子であり、検証コホートとして一般の小児ALL 120例でこの遺伝子の異常と予後との関連を探索したところ、遺伝子Xの異常を持つことが有意に高い再発率と相関していることを見出した。 遺伝子Xの機能異常を再現し、中枢神経での生存や化学療法剤への耐性を確認することを目指し、発現の制御を行うベクターをクローニングした。細胞株の動物移植モデルにて、中枢神経に移行する細胞株と移行しない細胞株を確認し、それぞれにおいてin vitroで中枢神経系の環境を再現したうえで遺伝子発現の誘導を行うことができている。 また、急性リンパ性白血病において中枢神経再発のリスクになりうるとされているTCF3-PBX1融合遺伝子をもつリンパ芽球性リンパ腫の7例についてゲノム解析を行い、6q領域のLOHやKMT2Dの変異を複数例で検出し、ゲノムプロファイルを明らかにすることができた(Shirai R et al. Cancer Rep 2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに病態に関連しうる遺伝子の候補を同定でき、機能解析を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに同定した候補遺伝子の機能異常を再現するために、ノックダウン実験による評価を行う。さらに、当該遺伝子のゲノム異常を再現した細胞で、中枢神経を模した環境下での生存や抗がん剤への感受性を確認し、その意義を確認する。
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