2021 Fiscal Year Annual Research Report
Single cell profiling of GI cancer-initiating cells and their niche
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20H03656
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早河 翼 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60777655)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胃上皮幹細胞 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
浸潤癌モデルの解析では、スキルス胃癌を発症するTff1-Cre;LSL-p53R172H;Cdh1F/F;Tgfbr2F/Fマウスを用いたシングルセル解析・選択的細胞集団RNAseq解析を引き続き施行した。本マウスの腫瘍細胞では正常では発現しないLRG1・CD38が高発現し、間質にはLRG1の受容体CD105を発現する免疫細胞・線維芽細胞・内皮細胞が出現していた。CD105発現は特に内皮細胞で顕著であったが、内皮細胞の中にCD105陰性細胞とCD105陽性細胞の2分画を認め、CD105陽性細胞ではWnt経路の活性化などの特徴を認めた。抗CD105抗体、抗CD38抗体の投与により、CD105陽性細胞のWnt活性化が低下し、複数の分泌成長因子の発現も低下しており、結果としてスキルス胃癌の縮小につながったと考えられる。また、浸潤型の腸型胃癌マウスモデルであるTff1-Cre;LSL-p53R172H;LSL-KrasG12D;Tgfbr2F/Fを用いた解析も実施し、こちらでは間質の線維芽細胞におけるGrem1高発現などとともに、腫瘍分画ではAreg1・Slc7a11高発現変化などを認め、これらのノックアウト実験を行う予定としている。 幹細胞に対するRspondinシグナルの検討を行うため、tetO-Rspo3過剰発現マウス、およびその受容体のLgr4・Lgr5の条件的ノックアウトマウスを用いた解析を行なった。その結果、Rspondin3は幹細胞・頸部粘液細胞に発現するLgr4を介して主細胞への分化を誘導する働きがあった。一方、Lgr4をノックアウトすると細胞増殖・癌化が促進されたことから、Rspo3/Lgr4経路による分化誘導機能が失われると癌化が誘発される可能性が示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
浸潤癌モデルの検討、幹細胞標識モデルの検討、いずれもマウスモデルが良好にワークし、それらを用いたRNA発現解析も施行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
浸潤癌モデルの解析では、スキルス胃癌を発症するTff1-Cre;LSL-p53R172H;Cdh1F/F;Tgfbr2F/Fマウスを用いたシングルセル解析において、線維芽細胞分画のscRNAseq解析が不十分であるため、この解析を追加で行った後、論文化を試みる。 また、浸潤型の腸型胃癌マウスモデルであるTff1-Cre;LSL-p53R172H;LSL-KrasG12D;Tgfbr2F/Fを用いた解析では、間質成分・腫瘍成分のさらなるRNAseqを行なっていく方針とする。これまでに高発現をみとめたAreg1・Slc7a11についてはノックアウトマウスを用いた実験を行う予定としている。 幹細胞に対するRspondinシグナルの検討では、上述の浸潤癌モデルとの交配を通じて、浸潤癌形成におけるRspo3/Lgr4シグナルの重要性を確認する予定とする。
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Research Products
(3 results)