2021 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓癌に対する抗がん剤の腫瘍指向性を持つ新規DDSの開発
Project/Area Number |
20H03664
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
加藤 淳二 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20244345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大須賀 崇裕 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40619714)
濱口 孝太 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50866613)
宮西 浩嗣 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (60372819)
村瀬 和幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90444918)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / 膵癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
きわめて予後不良の疾患である膵癌に対する新規治療戦略として、膵癌が単糖を取り込む性質に着目し、新規のドラッグデリバリーシステムを用いた薬剤の開発を進めている。すなわち単糖を抗がん剤内包リポソームに修飾し、高い腫瘍指向性が得られる抗がん剤の開発をこれまで類を見ない「多剤併用療法」で行うことが本研究の目的である。その有用性を証明し、英文での論文発表、特許を取得し、創薬へ繋げることを目標としている。初年度は、「1. 膵癌細胞におけるFDG取り込み機構の解明:FDG-FITCの膵癌細胞への導入, 2. 膵癌に対する多剤併用療法内包化FDG修飾抗がん剤内包リポソームの開発とin vitroでの検討:FDG修飾蛍光剤、抗がん剤の作製。蛍光物質内包FDG結合リポソームの膵癌細胞への導入。」について検討を行なった。膵癌細胞へのFDGの取り込みについてFCM等にて検討した。リポソームにFDGを結合することに成功し、膵癌細胞への取り込みについてFCMあるいは蛍光顕微鏡にて確認を行なった。担癌モデルマウスの作成、FDG結合リポソーム内包抗がん剤の開発も成功した。昨年度は、「in vivoでの検討(担癌モデルマウスへの蛍光内包リポソームの集積)」を行なった。腫瘍組織にFDG結合Cy5.5内包リポソームが集積していることが確認された。本年度は、抗がん剤内包リポソームでの治療効果の確認)と組織学的検討を行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要なFDG結合リポソーム内包蛍光試薬、FDG結合リポソーム内包抗がん剤の準備ができており、動物実験の準備も整っている。より効率的なFDG結合リポソームの送達についての検討が必要な状況ではあるが、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
FDG修飾蛍光薬の腫瘍送達率および抗腫瘍効果の検討: 皮下腫瘍モデルマウスを用いて、より効率的なFDG結合リポソーム内包蛍光薬の蛍光薬の腫瘍への送達性を検討する。具体的には、IVISによるin vivo imagingを行い蛍光物質の腫瘍特異性を確認する。次に、同様の皮下腫瘍モデルを用いて多剤併用療法内包FDG結合リポソームの抗腫瘍効果を、経時的腫瘍径の変化で検討する。同量のリポソームに内包化していない薬剤を投与したマウス群、未治療群と比較検討する。腫瘍組織はホルマリン固定後HE染色やTUNEL染色、cleaved PARP染色を行い、腫瘍細胞にapoptosisが誘導されているか否かを検証する。引き続き、各治療群における生存率の違いを既報に準じて検討する。 FDG結合リポソームに内包化する多剤併用療法の各種薬剤濃度についての検討: 各薬剤の複数のパターンの濃度にて作製された多剤併用療法内包FDG結合リポソームの治療効果を比較検討する。通常の投与とは、適する濃度が異なる可能性があるため、FDG結合リポソームによる膵癌治療戦略に適した各種抗がん剤濃度を検討する。
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