2020 Fiscal Year Annual Research Report
Gene regulation in the gut T cells and IBD
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20H03666
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三上 洋平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80528662)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Th17 / IBD / miRNA / 粘膜免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患(IBD)の病態には、T helper (Th)細胞の中でも特にIFN-g産生性Th1細胞およびIL-17産生性Th17細胞の関与が報告されてきたが、これまでのIFN-bやIL-17を標的とした生物学的製剤の効果は期待通りの効果に乏しく、IBDの治療には単一のエフェクターサイトカインやT細胞サブセットではなく、Th細胞サブセットの垣根を超えた炎症惹起性シグナルを標的とする全く新しい治療アプローチの開発が必要である。申請者は、各種の血球系細胞におけるDeep-sequencingを用いたmiRNAの網羅的発現解析データの再解析を行い、血球系細胞において100TPM以上発現の認められた375種類のmiRNAのうちで、リンパ球に特異的に発現する49種類のmiRNAを同定した。さらに、19/49種類のmiRNAがTh細胞特異的に発現し、中でもmiR-221/2がTh1, Th17細胞に選択的に発現する事が明らかとなった。実際に、naive T細胞をTh1, Th17(b) (IL-6 + TGF-bにより誘導したTh17), Th17(23) (IL-6 + IL-23により誘導したTh17), iTregに分化誘導し、Deep-sequencingを用いたmiRNAの網羅的発現解析を行ったところ、Th1、Th17(23)においてはmiRNA-221/2は高発現していたが、naive T細胞やTGF-bにより誘導されたTh17(b)およびiTregではほとんど発現が見られなかった。このことから、miR-221/2の発現には、IL-6、IL-12、IL-23などの炎症惹起性サイトカインにより発現が強く誘導され、一方でTGF-βにより発現が抑制されると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、炎症惹起性T helper 細胞サブセットに特異的に発現するmiRNA-221/222を同定し、その発現機構に関して、炎症性サイトカインがポジティブに、炎症抑制性サイトカインがネガティブに作用することを明らかとした。これを受け、次年度以降、in vitroおよびin vivoにおけるmiRNA-221/222の作用を検証していく基盤となるデータの取得に成功している。さらに、腸管T細胞の解析を通じて、新たな知見をNature誌に報告した。 以上により、当初の計画以上に計画は進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの検討より、IL-6、IL-12、IL-23などの炎症惹起性サイトカインにより発現が強く誘導され、一方でTGF-βにより発現が抑制されると考えられたため、IL-6、IL-12、IL-23の下流の転写因子である、STAT3、STAT4、Histone markの分布をChIP-seqを用いて検討し、miR-221/2の発現調節機構の一端を明らかにする。 また、生体内におけるTh17細胞の機能を検討するために、申請者らは、miR-221/2欠損マウスを作成し、腸管および全身の臓器における免疫系への影響をスクリーニングする。 さらに、Th17細胞におけるmiR-221/2の機能を生体内で観察するために、腸炎における影響をデキストラン硫酸塩(DSS)誘引腸炎モデルを用いて検討したところ、miR-221/2欠損マウスでは、コントロールマウスと比して著明な腸炎の悪化を認めた。今年度は、miR-221/2欠損の影響が腸炎に及ぼす影響を、マウスモデルを用いて免疫学的解析により検討する。
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Research Products
(2 results)