2020 Fiscal Year Annual Research Report
Regulatory mechanisms of fatty acids synthesis and breadown in pressure-overloaded heart
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20H03671
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
倉林 正彦 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00215047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯 達也 群馬医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10400756)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脂肪酸合成 / 脂肪酸酸化 / FGF21 / ケトン体 / 膜脂質組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓のエネルギーと組織を構成する分子はほとんどが血液中を流れる栄養分に由来することが半世紀前から示されたことから内因性の脂肪合成(endogenous lipogenesis)の重要性についてはこれまでほとんど明らかにされてこなかった。私たちは脂肪酸伸長酵素Elovl6の全身欠損マウスおよび心臓特異的欠損マウスを用いて実験を行った。リピドミクス解析にてElovl6欠損マウスで、C16:0の増加とC18:0の減少が認められた、興味深いことに圧負荷を加えた場合、野生型ではC20:4の増加、C22:6の減少が認められたが、Elovl6欠損マウスではこうした変化は見られず、sham群と同等であった。さらにElovl6欠損マウスでは、肥大の分子マーカーであるANP、BNP、TGFb, CTGF,の発現上昇が見られず、マイトファジーを促進するparkinの発現が亢進した。したがって、Elovl6による内因性脂肪酸合成は膜脂質組成を肥大に対して抵抗性を持つn-3優位型組成に変換させることが明らかになった。また、2022年度は脂肪酸酸化に関する研究も行った。FGF21の欠損マウスの解析を行った。その結果、従来の報告と異なりFGF21欠損マウスでは血中ケトン体の濃度が上昇した。そして、ケトン体濃度と有意に正の相関を示してPPARa, PGC-1aの発現量が増加した。さらにcatalase, Ucp2, Ucp3など抗酸化ストレス分子の発現も見られた。したがって、ケトン体とFGF21は協調して心臓エネルギー産生と抗酸化反応を増加させる効果を持つことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で一時、海外からの実験器具の購入ができなかったことがあったが、その問題も解消し研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
心臓でのde novoの脂肪酸合成の生理的な意義を今後も明らかにしていく研究を行いたい。Elovl6の欠損が脂肪酸組成(n-3/n-6 ratio)を変換させ、圧負荷への反応に大きな相違をもたらすとの発見は大きい。また、膜の脂肪酸組成とミトコンドリア機能との関連も大きな研究課題である。新しいElovl6の役割を見出し、脂肪酸合成調節の生理的および病態生理的な役割を明らかにしたい。
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