2021 Fiscal Year Annual Research Report
Regulatory mechanisms of fatty acids synthesis and breadown in pressure-overloaded heart
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20H03671
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
倉林 正彦 群馬大学, その他部局等, 名誉教授 (00215047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯 達也 群馬大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (10400756)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ケトン体 / FGF21 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、心臓エネルギー代謝の鍵分子PPARa, PGC-1aの制御機構を解析している。令和3年度には以下の点を明らかにした。 FGF21を培養心筋細胞に添加すると、生理的な濃度においてもFGF21、AMPK, PPARa, PGC-1aの活性を著明に活性化させた。この効果はbOHBと相乗的であった。また、FGF21欠損マウスでは心筋PPARa、catalase, Nox4, Ucp2, Nrf2の発現が増加し、この上昇は血清bOHB濃度と正相関した。FGF21とbOHBはお互いに影響し合ってPPARaの活性及び酸化ストレス応答を制御することを示している。また、24時間のfastingマウスの解析から、血清bOHBの上昇は心筋でのbOHBの酸化(ketolysis)に繋がらず、エネルギー基質としては利用されないこと、酸化ストレス応答を誘導することも明らかになった。さらに、bOHBはこれまで細胞内NAD/NADH比の増加によってSIRT1・PPARaの活性化を引き起こすことが推測されてきたが、心筋細胞では異なる機構が存在することが明らかになった。腎臓細胞において、エピジェネティックな機構で抗酸化シグナルを誘導する分子としてのbOHBの役割が報告されているが、PPARaの活性制御因子としての役割は新たな発見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全身及び心筋特異的なFGF21欠損マウスが順調に作製されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
FGF21とbOHBが心筋PPARaの活性を制御する詳細な機構を明らかにするために今後の方策は以下の通りである。LKB siRNA存在下で、FGF21とbOHBによるPPARaの活性化が起こるか否かを明らかにする。また、転写が活性化されるPPRE結合配列を含むルシフェラーゼベクターと、PPARaリガンド結合ドメインを酵母菌の転写因子GAL4のDNA結合ドメインに結合させたコンストラクトを心筋細胞に導入し、βOHB添加によってルシフェラーゼ活性が増加するかを検討する。これによって、FGF21とbOHBがPPARaリガンドとして作用することが証明できる。
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