2020 Fiscal Year Annual Research Report
生理的環境下におけるストレス応答による心筋細胞の細胞周期制御
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20H03680
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木村 航 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (60452182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
升本 英利 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (70645754)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心筋細胞 / ストレス応答 / 心筋梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
心疾患,とりわけ心筋梗塞などの虚血性心疾患は世界の死因の第一位を占めており,たとえ急性期を生き延びたとしても,我々には失われた心筋組織を再生させる能力がないため,残った心筋組織が心機能を支えきれなかった場合には心リモデリングから心不全の発症にいたる.心不全の患者数,死亡者数は増え続け,現在ではパンデミックの様相を呈している. このような現状の背景には,我々のような哺乳類の成体の心臓では,大部分の心筋細胞が増殖能を持たず,そのため我々には障害を負った心筋の再生能がないという事実がある.一方ゼブラフィッシュやイモリ,哺乳類の胎児および出生直後の新生児では,多くの心筋細胞が細胞周期に入る能力があり,彼らには心筋再生能がある.すなわち心筋細胞が細胞周期に入る能力と心筋再生能には完全な対応があり,その制御機構を理解することは,心筋再生法の開発に大きく資すると考えられる.しかし現在まで,哺乳類の成体の心筋細胞において細胞周期を再び活性化できる分子機構に関する知見は断片的なものにとどまっている. 我々は,マウスにおいて心筋細胞の細胞周期制御に機械刺激ストレス応答および酸化ストレス応答が重要な役割を果たすことを示してきた.本研究計画はストレス応答経路の下流で心筋細胞の細胞周期制御を担うシグナル伝達経路の同定と,その制御による心筋再生を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はマウス新生仔および成体を用いた組織学的解析および生化学的解析により,出生後の心筋細胞で活性化するストレス応答経路を同定した.さらに,このストレス応答経路に対する薬理学的介入により,新生仔での心筋細胞の増殖継続が起こることを発見した.また心筋細胞特異的かつタモキシフェン依存的なコンディショナルノックアウトマウスを作成し,出生後の心筋細胞における本経路の阻害が心筋細胞の細胞周期停止に重要であることを明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
コンディショナルノックアウトマウスを用いて,ストレス応答シグナル伝達系の阻害により成体マウスでの心筋細胞の細胞周期再エントリーが起こるか検討する.また心筋梗塞後の心機能回復に十分であるかについて検討する.さらに,ストレス応答シグナル伝達経路の上流の制御因子を同定するため,候補となる因子に対する薬理学的・遺伝学的介入実験を行う.
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