2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of human airway organoid by understanding airway development in single-cell resolution
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20H03693
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森本 充 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (70544344)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 呼吸器 / 発生 / 幹細胞 / シングルセル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究で行ったE12.5-18.5のマウス胎児の気管上皮細胞を使った、時系列を追ったsingle-cell RNA sequencing (scRNA-seq)解析データをもとに、E14.5以降に前駆細胞から全4種類の上皮細胞種が出現するまでの転写ネットワークの変遷を詳細に解析した。その結果、TgfシグナルとId遺伝子の基底細胞分化に沿った特徴的な変動が観察された。TgfbrおよびId2遺伝子のノックアウトもしくは過剰発現マウスを用いて、基底細胞におけるこれら遺伝子の機能、特に発生期と成体の再生現象における役割を解析した。 同時に、発生中の気管平滑筋細胞を時系列に回収し、上皮と同様に1細胞転写解析を行った。現在データ解析を進めており、分化プロセスの全体像を記述的に明らかにする研究を進めた。特にその中で気管平滑筋および気管軟骨前駆細胞の分化に必要な転写因子と細胞間シグナルを同定するための解析を進めた。 加えて、ヒトiPS細胞から気道上皮細胞の分化誘導実験を行った。これまでに、内胚葉―前腸―呼吸器前駆細胞を誘導し、呼吸器前駆細胞だけをセルソーターを使って単離、3次元培養を行い、成熟化を促すことに成功していた。今年度の研究から、気道上皮マーカーであるNkx2.1陽性細胞がスフェア状に成長する様子を確認できた。スフェアの細胞が分化した気道上皮細胞のマーカー陽性細胞を含んでいることを免疫染色で確認した。一方で、研究室で確立したマウスES細胞から気管間充織細胞を誘導系するプロトコールを改良し、ヒトiPS細胞からTbx4陽性の気管間充織細胞を誘導することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に進んでいる。しかし、資材不足により一部のオルガノイド培養ができない期間があったため、中断を余儀なくされた実験もある。 具体的には、シングルセル解析を使った、発生期を通じた気管上皮および間充織組織のトランスクリプトームの時系列変化の解析はいたって順調に解析が進んでおり、制御分子の有力な候補が同定されつつある。 ES/iPS細胞からの呼吸器細胞の分化誘導系も順調に研究が進んでいるのだが、3次元培養に必要な細胞外基質であるマトリゲルの輸入が一時的に遅延されたため、実験の停止を余儀なくされた。その後、輸入が再開され、分化誘導実験を再開することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
気管上皮細胞の分化プロセスは特にマウスを使ったin vivo解析をさらに進める。基底細胞の分化と増殖制御におけるTgfbシグナルとId遺伝子の関係を明確にする。 気管間充織細胞の解析では、今年度の成果をもとに、気管平滑筋と気管軟骨細胞の分化プロセスを明確にし、前駆細胞からこれらの細胞種が出現する過程と、誘導に必要なシグナル、および転写因子の同定を行う。 ES/iPS細胞からの分化誘導系では、誘導した上皮細胞および間充織細胞の成熟化を促すことに挑戦する。上記の発生研究から得られた情報をもとに、前駆細胞から分化、成熟化に作用することが想定される候補の成長因子、および細胞外マトリックスの添加を行う。また、最終的な目標であるヒト気管オルガノイドの開発に向けて、上皮細胞と間充織細胞の融合培養に挑戦する。
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Research Products
(9 results)