2021 Fiscal Year Annual Research Report
免疫プロファイルに基づく肺がんのリスク層別化手法の構築
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20H03695
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
白石 航也 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (80609719)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺腺がん / HLAアリル / 次世代シークエンス / 化学療法応答性 / 免疫チェックポイント阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺腺がん由来SNPチップデータが取得された5,416例とコントロール29,696例を用いてHLA-imputationを実施し、SNP並びにHLAアリルに着目した関連解析を実施した。さらに候補となるHLAアリルと連鎖不平衡が強いSNPを抽出し、invader法とTaqMan法を組み合わせて、11,670例の肺腺がん症例と121,958例の非がんコントロールを用いて関連解析を実施し、複数のHLAに位置するバリアントが肺腺がんの発症リスクと関わることを見出した。またこれらのバリアントはEGFR変異陽性肺腺がんでより強く発がんリスクと関連した。アジア人で最も高頻度に認められるHLA-A *24:02アリルが最も発がんリスクを示したことから、本アレルに着目して1,167例の肺腺がん由来のがんゲノムデータ(全エクソンシークエンス)を用いて体細胞変異解析を実施した。各HLA別で体細胞変異数をカウントしたが、各アレル間での体細胞変異数に差は認められなかったが、発がんリスクに関わるHLA-class I アリルに着目してネオアンチゲン数を算出したところ、リスクアリルではそれ以外のアリルに比べて認識できるネオアンチゲン数が少ないことが分かった。RNAシークエンスデータを用いた腫瘍浸潤性T細胞の量との相関解析を検討したところ、HLA-class IIに位置するリスクに関わるバリアントは腫瘍浸潤性T細胞の量と相関することを見出した。以上の結果より、発がんリスクを伴うHLAアリルをもつ腫瘍では、免疫能が低下している可能性がある。これらの結果については、現在論文投稿中である。今年度は、免疫チャックポイント阻害剤の治療効果や有害事象との関連について検討するため、対象となる症例をそれぞれ数百例選択し、全エクソンシークエンス・RNAシークエンスを追加で実施し、最終年度に関連解析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り研究は実施しており、最終年度に向けて治療応答性や有害事象との関連解析を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
既報により、HLAの多様性ががんを始めとする様々な病気の発症リスクと関連する報告がなされており、本研究でもHLAの多様性が特にアジア人で頻発するEGFR変異陽性肺腺がんリスクにより強く関連することを見出している。またHLA型により免疫細胞フラクション(特に腫瘍浸潤T細胞)に差異を認めており、免疫細胞画分と肺腺がんの発症リスクとの関連を見出している。さらに、HLAの多様性が免疫チェックポイント阻害剤の治療効果や重篤な副作用にも関与することが報告されている。今後、免疫チェックポイント阻害剤の治療効果や副作用との関連、術後再発予後との関連などについても検討を行うことで、他研究への波及効果が期待される。 本研究では生殖細胞系列変異と体細胞変異との統合解析を実施している。正常組織検体由来の全エクソンシークエンスデータからHLA型の推定を行い、腫瘍組織検体由来の全エクソンシークエンスデータから体細胞遺伝子異常の蓄積度合(体細胞変異数、ネオアンチゲン数、異常なコピー数、構造異常の数など)、RNAシークエンスデータから各遺伝子の発現量や免疫細胞フラクションの割合を推定した。それらのデータを用いた統合解析により、本研究において免疫ネットワークの違いが肺腺がんの発がんリスクに寄与することを見出した。これらの結果より、本研究で用いた解析手法が他のがん種でも同様に適応できる可能性を示した。今後は公開データベースに登録されているゲノムデータなどを利活用する形で、がん種横断的な免疫ネットワークの差異を明らかにする予定である。
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Research Products
(9 results)