2020 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞由来腎臓オルガノイドを用いた小児ネフローゼ症候群の発症機序の解明
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20H03698
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
飯島 一誠 神戸大学, 医学研究科, 客員教授 (00240854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀之内 智子 神戸大学, 医学研究科, 助教 (30754593)
高里 実 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (40788676)
長野 智那 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (60814316)
野津 寛大 神戸大学, 医学研究科, 教授 (70362796)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小児ネフローゼ症候群 / iPS細胞 / 腎臓オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
小児ネフローゼ症候群(NS)は小児慢性腎疾患で最も頻度が高い原因不明の指定難病である。我々は最近、日本人小児NS患者のゲノムワイド関連解析及び国際メタ解析を行い、腎糸球体ポドサイトに強発現し、尿蛋白防止機構として最も重要なスリット膜の主要構成蛋白であるNephrinをコードする遺伝子-NPHS1のvariantがNSの発症に関連する可能性を世界で初めて見出した。しかし、それらのvariantが、どのような機序でNSの発症に関与するのかは依然として明らかではなく、そのメカニズムを解明する必要がある。 本研究では、小児NS患者由来のiPS細胞を分化誘導し作成した腎臓オルガノイドを用いて、NPHS1のvariantがNSの発症に関与するメカニズムを解明することを目的とする。なお、先行研究から、NPHS1領域の主なvariantは、eQTLやsQTLとして作用するのではなく、minor alleleすべて(risk haplotype)をheteroで有する患者で、Allele-specific expression(ASE)という現象が生じていることが示唆されている。 まずは、NPHS1領域のrisk haplotypeをhomo, hetero, nullの状態で有する患者から、それぞれ数名ずつiPS細胞を作成する必要があり、令和2年度から令和3年度6月までに、8名のNS患者由来のiPS細胞の作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
委託を予定していた企業の作製するiPS細胞では当初の予想に反し、研究に不可欠となる良質な腎臓オルガノイドが作成できないことが分かった。研究遂行上、iPS細胞から腎臓オルガノイドへの分化誘導が不可欠なため、新たな委託先を慎重に検討する必要があり、iPS細胞作製委託先の再検討に時間を要したため、当初予定していた委託契約の時期が遅れ、iPS細胞の納品時期をやむを得ず後ろ倒しした。その結果、2021年6月には、8名のNS患者由来のiPS細胞を委託業者から入手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに4名のNPHS1領域のvariantの情報が分かっているNS患者の血液細胞を採取し、その細胞からiPS細胞を作成し、それらを分化誘導し作成した腎臓オルガノイドを用いて、NPHS1のvariantがNSの発症に関与するメカニズムを解明する。腎オルガノイドの作成は、理研の高里研究室で行い、その後の機能解析は、高里研と神戸大学小児科共同で実施する予定である。先行研究から、NPHS1領域の主なvariantのminor alleleすべて(risk haplotype)をheteroで有する患者では、Allele-specific expression(ASE)という現象が生じていることが示唆されているので、腎オルガノイドにおけるポドサイトを中心に、RNA-Seqを用いてASEが生じているか否かを確認したい。
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Research Products
(2 results)