2021 Fiscal Year Annual Research Report
Pathophysiology of porokeratosis and cell competition in human
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20H03704
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久保 亮治 神戸大学, 医学研究科, 教授 (70335256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 勇人 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40398615)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 汗孔角化症 / 原因遺伝子 / 細胞競合 / コレステロール生合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
汗孔角化症とは、メバロン酸経路に関わる代謝酵素をコードする遺伝子の欠損により皮疹が生じる疾患である。汗孔角化症患者の2症例において、正常部と病変部のそれぞれから組織を採取し、初代培養ケラチノサイトを樹立した。いずれの細胞も、血清存在下では同じ増殖を示した。ところが無血清培地においては、正常皮膚由来のケラチノサイトは血清存在下と同様に増殖したのに対し、病変部皮膚由来のケラチノサイトは死滅した。無血清培地にコレステロールを添加したところ、病変部由来のケラチノサイトも正常に増殖したことから、患者病変部表皮の細胞ではメバロン酸経路が機能していないためにコレステロールの生合成ができず、正常に増殖できないことが考えられた。これら2種類の細胞間で生じる細胞競合現象を解析するために、2種類の細胞を単独培養した時には生じず、2種類の細胞を混合して培養した場合に生じる現象を探索する。2種類の細胞を適切な比率で混合し、正常細胞が変異細胞に取り込まれる条件と、逆に変異細胞が正常細胞に取り囲まれる培養条件においてmRNA発現を網羅的に比較した。変異細胞においては、コレステロール生合成経路の酵素のmRNA発現が上昇していた。2種類の細胞を混合培養した時に上昇すると予想される、細胞競合/細胞増殖に関わるシグナルについて検索中である。また、汗孔角化症の疾患モデルマウスを作成するため、汗孔角化症の原因遺伝子であるMVDとMVKについてfloxマウスを作成した。今後、K14-creERTマウスおよび組み換えが生じた場合に細胞が発する蛍光が変化するmT-mGマウスとの掛け合わせにより、適切な確立でcre-loxP組み換えが起こり、汗孔角化症の皮膚症状がタモキシフェン投与により誘導されるかを探索する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.汗孔角化症患者の2症例において、正常部と病変部のそれぞれから組織を採取し、初代培養ケラチノサイトを樹立し、正常部由来の細胞ではメバロン酸経路 が障害されていないのに対し、病変部由来の細胞ではメバロン酸経路が障害されていることを確認した。 2.汗孔角化症の疾患モデルマウスを作成するため、汗孔角化症の原因遺伝子であるMVDとMVKについてfloxマウスを作成した。研究代表者が慶應義塾大学から神戸大学に異動したため、一旦マウスを凍結胚にして、現在神戸大学にて凍結胚から移植中である。 3.汗孔角化症患者に対し、メバロン酸の上流のHMG-CoA reductaseによる酵素反応をスタチン投与によりブロックすることで、皮疹が治癒するかの検証を行っ た。海外の報告では全例に効果があるとのことであったが、我々の検証では、効果が見られる罹患者と効果が見られない罹患者の両方が存在していることが示唆された。おなじMVD遺伝子変異による汗孔角化症患者であっても、スタチン外用が効果を発揮する例と発揮しない例があり、なんらかのmodifier遺伝子が存在している可能性がある。4.我々はこれまでに、62例の汗孔角化症患者よりゲノムDNAを採取して遺伝学的解析を行い、MVD29例、MVK7例、FDPS6例の合計42例の汗孔角化症患者の確定遺伝子診断を行った。既知の原因遺伝子に変異が見つからなかった20例中7例の患者において、新規の原因遺伝子を同定し解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.患者の正常部と病変部由来の初代培養ケラチノサイト2種類の細胞間で生じる細胞競合現象を解析するために、2種類の細胞を単独培養した時には生じず、 2種類の細胞を混合して培養した場合に生じる現象を探索する。それぞれの単独培養と適切な比率での混合培養、それぞれにおける網羅的なmRNA発現解析の結果のインフォマティクス解析を進める。 2.汗孔角化症の原因遺伝子であるMVDとMVKについて作成したfloxマウスと、K14-creERTマウスおよび組み換えが生じた場合に細胞が発する蛍光が変化するmT-mG マウスとの掛け合わせにより、適切な確率でcre-loxPによる組み換えが起こり、汗孔角化症の皮膚症状がタモキシフェン投与により誘導されるモデルマウスを確立する。 3.スタチン外用の効果と汗孔角化症のジェノタイプの間に相関があるかどうかを検証する。 4.新規の原因遺伝子により発症したと考えられる汗孔角化症を見いだしており、新規原因遺伝子を確定して病態を解明するとともに、既知の原因遺伝子による汗孔角化症との比較を通じて、共通の病態形成機構を探索し、新たな治療ターゲットを探索する。
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Research Products
(1 results)