2021 Fiscal Year Annual Research Report
本態性血小板血症に特異的な転写ネットワークによる細胞腫瘍化メカニズムの解明
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20H03715
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小松 則夫 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (50186798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 総司 順天堂大学, 医学部, 特任助教 (10635866)
今井 美沙 順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤助教 (50709003)
荒木 真理人 順天堂大学, 大学院医学研究科, 客員教授 (80613843)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 本態性血小板血症 / 骨髄増殖性腫瘍 / 小胞体ストレス / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィラデルフィア染色体陰性の骨髄増殖性腫瘍(以下,MPNと称する)は,造血幹・前駆細胞に体細胞変異が生じ、血球の異常増加や骨髄の線維化を呈する造血器腫瘍である。申請者は最近、MPNに含まれる疾患群のひとつである本態性血小板血症(以下,ETと称する)の患者血小板に含まれるRNAの網羅的な解析から,当該疾患に特異的に高発現している遺伝子としてCREB3L1を同定した。 これまでの検討により,CREB3L1遺伝子の発現はETのみならず,MPN患者の血小板に特異的,かつ共通してに見られることを明らかにした。2021年度はさらに,MPNにおけるCREB3L1発現の臨床的な意義を調べるとともに,細胞株を用いた検討により,MPN発症におけるCREB3L1遺伝子発現の意義を調べた。 ETと同じくMPNのサブタイプである真性赤血球増加症(以下,PVと称する)とETの臨床データとCREB3L1発現量との関連性を調べたところ,血栓症の併発リスクと骨髄線維症への移行リスクの高さが,CREB3L1遺伝子の発現量と正に相関することがわかった。続いて,MPN患者血小板由来RNA中の,CREB3L1以外の小胞体ストレス応答因子のmRNA発現量を調べたところ,CREB3L1とは異なり,健常者コントロールと比較し有意に減弱していることが明らかとなった。一方,細胞株を用いた検討では患者検体を用いた上記のような結果を再現できず,MPN発症とCREB3L1発現とを繋ぐ,未知の生体内の機構が存在すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高リスク群のMPN患者を事前に把握できる予測マーカーとしてのCREB3L1発現定量の有用性を示すことができたとともに,CREB3L1以外の小胞体ストレス応答因子の発現量が,MPNでは逆に下がっていることを明らかにしたことから,MPNにおけるCREB3L1発現の意義を明らかにする足掛かりを得られたと考えており,予定通り進行できていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,MPN患者由来の初代細胞を用いて検討を進め,CREB3L1発現の細胞系譜や,細胞の分化・増殖の段階におけるCREB3L1の影響などを解析していく。
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Research Products
(2 results)