2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of pathogenesis and treatment of islet mitochondrial dysfunction and inflammation under glucolipotoxicity
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20H03733
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
寺内 康夫 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40359609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富樫 優 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10710444)
白川 純 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (70625532)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵β細胞 / ミトコンドリア / 膵島 / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病の発症進展に伴う膵β細胞機能低下の原因として、慢性的な高血糖による糖毒性と遊離脂肪酸による脂肪毒性が相乗的に作用する糖脂肪毒性が重要である。我々は、慢性的なグルコキナーゼ活性化により発現が上昇する膵島の分子群を同定したが、その中にパルミチン酸刺激でも発現が上昇するUCP2とS100 calcium-binding protein A8(S100A8)があり、糖毒性と脂肪毒性の両者で共通して上昇する分子として注目するに至った。マウス単離膵島および膵β細胞株を用いて、glucolipotoxicityにおけるUCP2とS100A8発現の制御機構を解析した。 高脂肪食等による肥満状態における腸内細菌叢のうち、膵β細胞でS100A8を誘導する分子について、腸内細菌叢のメタボロミクスを、GC-MSおよびLC-MSを用いて解析した。 膵β細胞特異的UCP2過剰発現マウス(βUCP2Tg)を樹立した。グルコース応答性インスリン分泌の低下による耐糖能障害を認め、これまでの解析から、βUCP2Tgの膵島においてミトコンドリア電子伝達系Complex Iの蛋白発現が低下していること、電子顕微鏡下にて、βUCP2Tgのβ細胞ではミトコンドリアの肥大とクリステの菲薄化を認めること、単離膵島の遺伝子発現マイクロアレイにおいて、disallowed genesのアルドラーゼBが約70倍まで発現上昇していることを確認した。ミトコンドリアの形態異常から、UCP2やAldBがミトコンドリアの選択的オートファジー(マイトファジー)に影響を与えている可能性を考慮し、膵島におけるマイトファジー関連タンパク質の発現や局在を評価している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに進んでいる。研究成果をとりまとめた第1報を論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はS100A8を標的とした膵島炎症制御による膵β細胞保護の解析を進める。私たちは膵β細胞特異的S100A8欠損マウス(βS100A8KO)を樹立し、glucolipotoxicityが膵島で誘導されるモデルである長期高脂肪食負荷で耐糖能が改善することを見出している。このマウスでの膵島内での炎症性サイトカインの発現およびマクロファージの浸潤を検討する。βS100A8KO:db/dbマウスも作製し、膵島炎症の解析を進める。また、膵島内マクロファージが外来性か内在性かについて、フローサイトメーターによる表面マーカーの解析も進め、膵島のglucolipotoxicityに関与するマクロファージの由来を探る。 マウス腹腔内に組み換えS100A8タンパクを投与したところ、想定外にLPSによる敗血症性ショックを抑制した。S100A8はLPS等のエンドトキシンと相互作用する可能性が示唆され、膵β細胞や多臓器におけるLPSやTLR4との相互作用を解析することで、膵島炎症の本質に迫る。
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Research Products
(7 results)