2020 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of human pancreas in xenogeneic animal
Project/Area Number |
20H03740
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 智之 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (80392158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 英樹 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (20571988)
水谷 英二 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80443034)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / 異種間キメラ / ナイーブ / 胚盤胞補完法 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでにげっ歯類多能性幹細胞のキメラ形成能を利用して動物体内に多能性幹細胞の膵臓を作製することに成功している。法律の改正によりこれまでできなかったヒトiPS細胞を使ったヒト臓器作出の研究が可能になったが、ヒトとマウスは進化的距離が非常に離れた動物種であり、多能性幹細胞の性質の違いや、発生過程の細胞間相互作用に関わる分子の種差がヒト-マウス異種キメラ形成ならびにヒト臓器作製を阻む壁になることは容易に想像される。そこで、本研究ではイメージング技術や遺伝子発現解析を駆使し、ヒトiPS細胞がマウス環境に適応する為の条件を解明し、ヒトーマウス異種間キメラおよびマウス体内でのヒト膵臓作製を目指す。 予備実験および既報から、 ヒトiPS細胞とマウス胚の発生段階の違い、接着分子、シグナル伝達分子の違い、また細胞競合による排除 などがマウス発生環境にヒト細胞が協調するための障壁となると考えられる。当該年度は、発生段階の違いと接着因子の種間差に注目し、研究を遂行した。発生段階の違いの検討では、既報に従い、ナイーブ化 および細胞死抑制処理をしたヒトiPS細胞を用いて、キメラマウス作出を試みた。また異種環境では ホモフィリックな接着因子はホスト動物の種に合わせることが必要であると考え接着因子Xをマウス型に改変したヒトiPS細胞を用いキメラマウス作出を試みた。その結果、両者ともマウス初期胚にヒト細胞を生存させることには成功したが、正常な局在ではなく、最終的には排除されていた。これらの改変のみでは機能的なマウス―ヒトキメラの作製はできないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス―ヒトキメラ作製に関して、良好な結果は得られなかったが、ヒト細胞をマウス胚内で生存させることには成功したため、計画通り順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトーマウスキメラ作製を目指して、ナイーブ化 および細胞死抑制処理をしたヒトiPS細胞を用いたキメラマウス作出、接着因子のマウス化を施したヒトiPS細胞を用いたキメラマウス作製を試みたが、機能的なキメラは得られなかったが、本年度も引き続き、ヒト細胞がマウス環境と協調する為に必要な接着因子、レセプター、リガンドの候補遺伝子を検索し、ヒトiPS細胞をマウス化し、キメラ作製を試みる。 一方で、発生の砂時計と称されるように発生初期においては発生メカニズムが種ごとに厳密に制御されており、異種細胞が協調して発生分化することは非常に難しい可能性がある。そこで、この発生中期にヒト細胞を注入することでキメラを形成させる技術(exo utero法)の確立を試みる。
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Research Products
(4 results)