2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism of maturation of tertiary lymph structure in gastric cancer tumor immune microenvironment and identification of the therapeutic antibodies
Project/Area Number |
20H03752
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
掛地 吉弘 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80284488)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 秀雄 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (00237348)
青井 貴之 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (00546997)
藤田 貢 近畿大学, 医学部, 准教授 (40609997)
岡田 誠治 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 教授 (50282455)
向山 順子 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (70734987)
山下 公大 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (80535427)
高村 史記 近畿大学, 医学部, 講師 (90528564)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 胃癌 / 腫瘍微小環境 / 三次リンパ構造 / B細胞 / 抗体取得 / 消化器癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を中心としたがん免疫療法の発展が近年目覚ましい。期待された進行胃癌でのICIの治療効果は一定の成果を得ているものの、まだまだ十分とはいえないのが現状である。このため、キメラ抗原受容体 T 細胞療法等の次世代型新規治療の導入が望まれる。これらの新規治療の開発手段の一つとして、腫瘍特異的抗体の特定およびその配列情報の同定が想定される。特異的抗体を用いた治療は大きな期待が寄せられているのが、現状であるが、その多様性と煩雑さのために、十分な臨床応用に至っていないのが。現況である。近年、腫瘍近傍に出現する異所性リンパ構造である三次リンパ構造 (Tertiary lymphoid structures: TLS)中に腫瘍特異的抗体を産生する腫瘍関連B細胞 (TumorassociatedB lymphocytes: TAB)が多く存在することが明らかとなった。同時にこれに貢献する濾胞ヘルパーT細胞の存在も注目されている。これらの腫瘍免疫応答と関連するB細胞に標的を絞って、抗体の取得を行うことが本研究の目的である。本研究では、進行胃癌を中心に、TLS 構造(成熟度)を迅速に評価すること、TABの抽出および機能解析を行うこと、特異的抗体同定プロセスを最適化することで、胃癌(消化器癌)特異的な次世代型新規抗体医薬製品の開発につながる抗体取得を行い、進行胃癌をはじめとした消化器癌の腫瘍微小環境を制御し、治療成績の向上を目指す。抗体取得に関しては、無細胞系抗体取得方である、Ecobody法が既に確立されており、これを用いて大量かつ迅速なB細胞からの抗体取得を行い、スクリーニング方法を最適化した上で、有効性の高い抗体を取得し、新規治療の開発につなげていくことが本研究の狙いである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
胃癌TLSの構造・成熟度の解析を開始した。現在、胃癌だけでなく、大腸癌を含めた消化器癌の免疫染色を行い、形態学的な 解析を進めている。胃癌手術標本、大腸癌手術標本を用いて、腫瘍近傍に形成されるTLS、その濾胞構造部分の一部に形成される、B細胞の成熟段階を制御すると される胚中心(Germinal center)の形態学的解析を進めている。これらは、この構造の発生に深く関与する濾胞ヘルパーT細胞の検出が重要となるが、転写抑制因 子Bcl6-CD4により、検出が可能となっている。免疫染色の程度と形態を認識可能なシステムを導入したAIイメージサイトメトリーを用いて、成熟度評価を予後と の関連を検討している。 また、既に胃癌切除標本から抗体取得を開始しており、腫瘍組織特異的に接着する抗体取得には成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染の遷延により、ヒト検体の解析の制限を受け、一時的に遅延をもたらした。取得抗体は既にあり、これらの機能解析と治療薬、診断薬と しての可能性を見極めることがまず。成果に繋がる最優先事項と考える。このため、前臨床試験を早急に確立し、評価を行いたいと考えている。さらに、抗体の エピトープまたは、標的タンパクの同定となるが、外部委託を検討して、迅速化を計りたい。 また、次なる段階として、標的を絞った胚中心関連B細胞からの抗体取得を計画しており、迅速化されたAIイメージサイトメトリーを用いて、標本の選別を行う のか、あるいは、全標本を凍結切片で確認し、そのまま、採取するのか、取得方法を検討している。 TLSや胚中心から取得される抗体で有用性の高いものは、腫 瘍特異性のみならず、さまざまな免疫活性が期待され、診断、治療薬への期待が高まる。以上のように、解析の外部委託及び抗体取得用B細胞の絞り込みを行うこ とにより、より生理的意義のある抗体取得を行う。
|
Research Products
(2 results)