2021 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞心臓再生治療に伴う腫瘍性合併症の高感度検出・腫瘍除去システムの開発
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20H03764
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
湊谷 謙司 京都大学, 医学研究科, 教授 (20393241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川東 正英 京都大学, 医学研究科, 助教 (00837700)
近藤 輝幸 京都大学, 工学研究科, 教授 (20211914)
池川 雅哉 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (60381943)
升本 英利 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (70645754)
木村 祐 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90566027)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 心臓再生医療 / MRI / 腫瘍形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々が開発したヒトiPS細胞由来心臓組織グラフトは心臓再生医療において高い治療効果が期待される一方、iPS細胞を用いた再生医療において常に考慮すべき、残存iPS細胞に由来する移植後の腫瘍形成については懸念が残る。iPS心臓再生医療の広い普及のためには、起こり得る腫瘍形成を早期に検出し、除去しうるシステムの開発が求められる。本研究の目的は、残存ヒトiPS細胞から生じる腫瘍を実験的に作製し、作製された腫瘍に特異的に発現する表面抗原蛋白質を同定し、その表面抗原を検出しうる新規MRI用造影剤を開発し、動物実験により腫瘍検出を確認し、腫瘍除去法を確立することで、ヒトiPS細胞由来心臓組織グラフトの移植医療における安全性を高めることである。 昨年度までに、未分化iPS細胞の表面抗原である腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーの一つであるCD30に着目し、新規「抗CD30抗体複合化デキストラン被覆GdPO4ナノ粒子」を合成した。さらに、合成した抗体複合化GdPO4ナノ粒子の物性、MRI造影能、および機能評価を行った。MRI撮像後の細胞塊の細胞膜を溶解した後、細胞表面へのGd結合量を原子吸光光度計で測定した結果、細胞表面にGdPO4ナノ粒子造影剤が結合していることが確認された。本年度はCD30 以外の 2種類の抗体が結合した造影剤についても評価を行い,同量の抗体が結合した造影剤の場合,抗 TRA-1-81 抗体を用いた造影において最も高輝度を示し,加えて昨年度までの細胞量の 1/8 (4.0 x 10E5)で約 1.4 倍の輝度向上が確認された。また本年度はiPS細胞由来腫瘍を免疫不全ラット心臓表面において作製することに成功し、同種用サンプルに対する低分子化合物を主としたプロテオーム解析を実施し、複数の腫瘍形成に関連する因子を同定し得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はCD30 以外の 2種類の抗体が結合した造影剤についても評価を行い,同量の抗体が結合した造影剤の場合,抗 TRA-1-81 抗体を用いた造影において最も高輝度を示し,加えて昨年度までの細胞量の 1/8 で約 1.4 倍の輝度向上を確認することができた。このことはiPS細胞特異的MRI造影剤の感度を著明に上昇し得たことを示している。また本年度はiPS細胞由来腫瘍を免疫不全ラット心臓表面において作製することに成功し、同種用サンプルに対する低分子化合物を主としたプロテオーム解析を実施し、複数の腫瘍形成に関連する因子を同定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらにMRI用造影剤の感度を増すための研究開発を行うと同時に、実際にラット体内に形成し得たiPS細胞由来腫瘍に対するMALDI-TOFおよびショットガン解析を用いた表面抗原を同定し、抗原特異的MRI用造影剤の作製を実施し、その造影感度をin vitroおよびin vivoにて検討する。
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