2021 Fiscal Year Annual Research Report
Basic development for reprogramming methods and translation of regenerative medicine in intervertebral disc cells
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20H03809
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
酒井 大輔 東海大学, 医学部, 准教授 (10408007)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腰痛 / 椎間板再生 / 幹細胞 / リプログラミング |
Outline of Annual Research Achievements |
椎間板の再生医療において、移植細胞ソースとしてリプログラミング技術を用いた細胞製品の開発が望まれている。幹細胞等に対して特定の転写因子を作用させる(すなわち転写因子プロファイルを変更する)ことによって活性化髄核細胞表現型へと分化誘導し、そのようにして得られる活性化髄核細胞表現型を移植に用いることが理想的と思われる。しかしながら、そのような分化誘導を可能とし、かつ得られた活性化髄核細胞表現型が移植された後も活性化髄核細胞表現型としての十分な機能を発揮し続け(例えば十分な量の細胞外マトリックスを産生し)臨床学的に有効なものとできるような「髄核細胞マスターレギュレーター転写因子」は、これまでに確立されていない。 研究者のグループは、従来技術のように軟骨形成に関連する転写因子SOX9(軟骨形成マスターレギュレーター)を起点とするのではなく、後述する実施例に示すような、マイクロアレイアッセイ、iPS細胞干渉アッセイ、siRNAアッセイなどを通じて、髄核細胞に特有の転写因子をスクリーニングした。そして、その候補から選ばれる特定の転写因子の組み合わせ、代表的にはBrachyury(T)、SRY-box6(SOX6)およびForkhead Box Q1(FOXQ1)からなる群より選ばれる少なくとも2種の組み合わせは、MSC等の幹細胞からの分化誘導だけでなく、例えば線維芽細胞のような終末分化した細胞からの分化転換によっても、活性化髄核細胞表現型へと誘導することのできる、「髄核細胞マスターレギュレーター転写因子」というべき強力な転写因子のセットとなることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、ダイレクトリプログラミングにおいては製造方法を確立し、iPS細胞からの誘導に移っている。我々の見出した特定髄核細胞マスターレギュレーター転写因子は強力であり、直接リプログラミングを適用可能な細胞の範囲を拡大する。先行技術においては、多能性または全能性の細胞型(MSCなど)が必要であったが、本技術は、成熟分化細胞、例えば、終末分化したヒト真皮線維芽細胞についても分化転換を可能とする。軟骨形成のマスターレギュレーターであるSOX9を用いなくても、本発明により特定された髄核細胞マスターレギュレーター転写因子だけで、II型コラーゲンやアグリカンなどの細胞外マトリックス成分に明確なアップレギュレーションをもたらすことができる。したがって、本発明により得られる誘導髄核細胞は、髄核の過酷な微小環境下で生存することができ、プロテオグリカン、II型コラーゲン等の髄核関連細胞外マトリックスを能動的に産生する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はリプログラミングにおいてはin vivoでの有効性評価を行い、iPS細胞誘導においては転写因子導入の本格化を推進する。論文化を推進する。
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Research Products
(1 results)