2020 Fiscal Year Annual Research Report
Multimodal analysis of chromatin 3D structure using deep learning in gynecological malignancies
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20H03820
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
曾根 献文 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90598872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 歩 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60756782)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピゲノム / ヒストン修飾 / 薬剤耐性 / ChIP-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は婦人科悪性腫瘍を対象とし、多層的なヒストン修飾が及ぼすクロマチンの3次元構造の変化を解析する事により、がん化、がんの進展メカニズムを解明する。そのために本年度は下記2つの研究計画を遂行した。1:ヒストンH3リシンK27アセチル化(H3K27ac)を標的とした化学療法耐性獲得に関わるエピゲノムバイオマーカーの探索:本研究では、シスプラチン感受性株(A2780、TYKnu)とシスプラチン耐性株(A2780cis、TYKnuCPr)を使用し、ChIP-seqとNET-CAGEを行った。ChIP-seq解析は、シスプラチン感受性株とシスプラチン耐性株のH3K27acレベルの比較およびスーパーエンハンサー(Super Enhancer:SE)領域の抽出を行った。NET-CAGE解析は、シスプラチン感受性株とシスプラチン耐性株の遺伝子発現量の比較およびenhancer-RNA(eRNA)領域の抽出を行った。そして、ChIP-seqとNET-CAGEの解析データを統合することにより、H3K27acにより調節を受ける発現変動遺伝子およびSEの変動とeRNAの変動が重なる領域を抽出した。2:子宮肉腫における治療標的となりうるヒストンメチル化酵素の探索:まず子宮肉腫、子宮筋腫、正常子宮筋層の臨床検体を用いて、子宮肉腫にて有意に上昇している3つのヒストンメチル化酵素を同定した。その中のヒストンメチル化酵素EZH2に着目して研究を進めた。子宮肉腫の細胞株に対してEZH2のノックダウンを行ったところEZH2及びヒストンメチル化の発現の減少にともない有意な細胞増殖抑制が得られた。またEZH2選択的阻害剤を子宮肉腫細胞株に添加した所、ノックダウン実験と同様に有意な細胞増殖抑制が認められた。この結果よりEZH2は子宮肉腫に関して治療標的となり得る事がわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で2か月間、研究室閉鎖であった事を考えると概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1:ヒストンH3リシンK27アセチル化(H3K27ac)を標的とした化学療法耐性獲得に関わるエピゲノムバイオマーカーの探索:に関しては、人工知能を用いて下流遺伝子の絞り込みを行い、同定された遺伝子の機能解析を行い、薬剤耐性のエピゲノムバイオマーカーを同定する。2:子宮肉腫における治療標的となりうるヒストンメチル化酵素の探索についてはEZH2ノックダウン下の子宮肉腫を次世代型ChIP-seq法を用い、コントロールと異なる転写活性および抑制部位を同定する。本検討と①の検討においても認められた部位を婦人科悪性腫瘍において重要なヒストン修飾部位とする。次に用いたヒストンメチル化酵素EZH2をノックアウトした婦人科悪性腫瘍細胞株と野生株を用い、Hi-C解析を行いゲノムの3次元空間内の立体構造の変化を解析する。
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