2020 Fiscal Year Annual Research Report
Optogenetic regulation of function, regeneration and diseases of the female reproductive organ using stem cell and genome editing technologies
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20H03826
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
丸山 哲夫 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10209702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 守俊 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00323501)
高尾 知佳 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (40612429)
升田 博隆 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (80317198)
内田 浩 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90286534)
宮崎 薫 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (90445370)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子宮 / 幹細胞 / ゲノム編集 / 再生医学 / 光制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
R2年度においては,光応答性CRISPR/CAS9システムを in vitroの細胞レベルならびに in vivoの組織・臓器レベルの両者で作動させながら,その効率性・確実性・操作性の検証と改善を行った.以前よりin vivo実験のプラットフォームとして用いている光応答性CRISPR/CAS9によるマウス生殖能のin vivo制御システムにおいて,着床制御・責任因子である leukemia inhibitory factor (LIF) を標的として光照射を用いたゲノム編集により LIF遺伝子をピンポイントに破壊したところ,時空間的な生殖イベントである着床を抑制し妊娠の成立を再現性良く安定的に回避できる条件を見いだした.このような改善・改良が得られた一方,オフターゲット効果すなわち他の遺伝子も非特異的に破壊したことが着床・妊娠抑制の結果になった可能性も否定できないため, LIFの機能欠失させたところにLIF蛋白を投与してレスキューする実験を考案して条件を検討しながら研究を進めた.その結果,低下した着床数・妊娠数がLIF投与により有意に改善した.このように光応答性ゲノム編集により雌性生殖器官の機能を時空間的にピンポイントに制御できること示した(Takao et al., PNAS, 2020).着床を司る遺伝子やそのメカニズムはまだ十分に知られていない部分が多く,本研究で得られた光応答性ゲノム編集システムがそれらの発見や機能の検証に有用なツールになり得る.そこで,着床現象の一端を担う extravillous trophoblast (EVT)の機能解析を行ったところ,新しい EVT活性化システムの存在を明らかにし(Katakura et al., Placenta, 2020),光ゲノム編集ツールの対象になり得る新たな生体システムを見いだした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の主要目的のひとつである,光応答性ゲノム編集による雌性生殖器官の時空間的機能制御を実現できたことに加えて,この新たな光応答性ゲノム編集技術が生殖現象を含む雌性生殖器官の機能解明において有用な研究ツールとなり得る可能性を提示したこと,さらに着床現象を担う新たな生体システムを解明したことから,その時間的達成速度の点からも本研究は当初の計画以上に進展していると考える.一方,光応答性CRISPR/ dCAS9による遺伝子発現システムの開発やヒト子宮内膜への光応答性ゲノム編集技術の応用についてはやや遅れていることから,これらを相殺して「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
【1】脱細胞化骨格を用いた雌性生殖器官の再生・再建の開発:これまでわれわれは,子宮組織から細胞を除去する脱細胞化,および脱細胞化された組織骨格に新たに細胞を移入する再細胞化の技術を用いて,ラットにおいて子宮の部分的な再生・再建に成功した (Miyazaki & Maruyama, Biomaterials, 2014; Miki, et al., Biol Reprod, 2019). この技術を利用して,子宮の機能の中心的な役割を担う子宮内膜に着目して,子宮内膜全層欠損モデルを作成し,これに脱細胞化子宮内膜骨格 (Decellularized Endometrial Scaffolds, DES) 単独,あるいは再細胞化したDESを移植することで,構造的欠損が修復されるか否か,また機能的にもレスキューされるか(妊孕性が回復されるか) について解析・検討を行い,脱細胞化骨格を用いた子宮内膜の再生・再建に関する基盤知見および基盤技術を得る. 【2】光応答性細胞を用いた雌性生殖器官の機能再生治療の開発と子宮内膜症疾患メカニズムの解明:上記【1】で光応答性細胞を幹細胞から作製した場合は,それを搭載したDESから再生された組織・器官はそれ全体が光応答性になることが予想されるので,光を照射することにより組織・器官全体をその制御下に置くことが可能となる.それにより妊孕能などの子宮機能や再生能を解析するとともに,子宮内膜症など雌性生殖器官疾患に関連した分子や病因メカニズムを幹細胞特性の観点から調べることにより,新しい診断治療の基盤知見・技術を得る.
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[Journal Article] UDP-glucose, a cellular danger signal, and nucleotide receptor P2Y14 enhance the invasion of human extravillous trophoblast cells2020
Author(s)
Katakura S, Takao T, Arase T, Yoshimasa Y, Tomisato S, Uchida S, Masuda H, Uchida H, Tanaka M, Maruyama T
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Journal Title
Placenta
Volume: 101
Pages: 194-203
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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