2021 Fiscal Year Annual Research Report
De novo DNAメチル化の消去が及ぼすヒトES/iPS細胞の初期胚化の検証
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20H03829
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
福田 篤 東海大学, 医学部, 講師 (00638091)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト多能性幹細胞は体を構成するほぼ全ての細胞に分化することが可能である一方、in vitro産物である。カウンターパートであるヒト初期胚細胞と比較し、ヒト多能性幹細胞ではDNAメチル化が著しく亢進していることがこれまでの報告で明らかとなっている。本研究では、ヒト多能性幹細胞特異的なDe novo DNAメチル化を除去することで、どの程度ヒト初期胚細胞に類似出来るかを転写やエピゲノムの観点から明らかにする。 本年度は、de novo DNAメチル化酵素であるDNMT3A及び3B欠損ヒト多能性幹細胞における転写解析を実施した。RNA-sequencing解析の結果、de novo DNAメチル化欠損が及ぼす影響は、用いる株によって大きく異なることが示された。さらに、DNMT3A/3Bは、女性多能性幹細胞におけるX染色体不活化維持に必須であるlong-non coding RNA XIST遺伝子を制御することを発見した。これらのデータの一部は、国際共同研究成果の1つとして、責任著者として論文を発表した(Fukuda et al. Stem Cell Reports. 2021)。また、ヒト初期胚データとの統合解析においては、single cellレベルでの遺伝子発現解析が望まれることから、統合解析のプラットフォームを確立するとともに、ゲノムワイドなDNAメチル化解析を実施する体制へと移行している。 DNAメチル化状態におけるプレリミナリー解析では、DNMT3A/3B欠損ヒト多能性幹細胞株では、特定の染色体において著しくDNAメチル化レベルの変動が激しいことが明らかとなった。また、ゲノムワイドレベルでの著しいDNAメチル化低下が確認され、エピゲノムの観点から初期胚に類似していることが示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に進んでおり、一部の成果は既に論文として発表している。特に、女性ヒト多能性幹細胞におけるX染色体不活化状態が、de novo DNAメチル化酵素活性に依存していることを発見したことは、幹細胞生物学の発展において重要な知見を提供した。 DNAメチル化解析に関しては、次年度早期での解析完了予定のRRBSは既に着手している。一方、ヒト初期胚との統合解析に必要な共同研究体制なども順調に進んでいることから、より発展的な内容での論文成果を目指せる状況が整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、De novo DNAメチル化酵素の除去がどの程度、ヒト初期胚に類似するのかを、分子生物学的特性と表現型レベルでの両側面から明らかにする予定である。さらに、ヒト発生モデリングも視野に入れることで、ヒト初期胚発生における幹細胞モデリングシステムを構築する。 また、原因不明不育症など胚側の発生異常が関与されるヒト疾患においては、至適なex vivoモデルの欠如が生殖医療発展には不可欠である。次年度は、臨床グループとの共同研究をスタートさせることで、基礎レベルから応用を見据えた研究を行うことで、将来的にはヒト胚サンプルを用いた研究展開の礎を築く。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] De novo DNA methyltransferases DNMT3A and DNMT3B are essential for XIST silencing for erosion of dosage compensation in pluripotent stem cells2021
Author(s)
Atsushi Fukuda, Dane Z Hazelbaker, Nami Motosugi , Jin Hao, Francesco Limone, Amanda Beccard, Patrizia Mazzucato, Angelica Messana, Chisa Okada, Irune Guerra San Juan, Menglu Qian, Akihiro Umezawa, Hidenori Akutsu, Lindy E Barrett, Kevin Eggan
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Journal Title
Stem Cell Reports
Volume: 16(9)
Pages: 2138-2148
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research