2021 Fiscal Year Annual Research Report
HPV-related head and neck cancer: immunological analysis and cancer immunotherapy
Project/Area Number |
20H03834
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
近松 一朗 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30301378)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / ヒト乳頭腫ウイルス / がん免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
HPV陽性中咽頭癌の多くはHPV16型が原因ウイルスであり、HPV16 E6/E7 oncoproteinを発現していると思われる。一方、がん抑制遺伝子p53は野生型であり過剰発現は認められないが、HPV16 E6によってp53タンパクの分解が促進されp53由来ペプチドの抗原提示が促進されると言われている。2021年度は、HPV陽性中咽頭癌患者の末梢血を用いてHPV E6/E7およびp53に対するT細胞免疫応答について検討した。HLA-A24陽性のHPV陽性中咽頭癌患者の末梢血単核球を分離、HLA-A24拘束性のE6/E7由来およびwild-type (wt)-p53由来のpeptide mixtureによるin vitro stimulation (IVS)を行い、抗原特異的T細胞数をIFN-γELIPOTにて検出した。12名の患者について調べたところ、全患者(100%)でHPV16 E6/E7特異的T細胞応答が同定された。一方このうち9名の患者についてwt-p53-derived peptidesについてのT細胞応答を調べたところ、4名(44.4%)でwt-p53特異的T細胞応答が同定されたが、HPV E6/E7特異的T細胞に比べてIFN-γ産生細胞数は非常に少なかった。さらにIVSの際に免疫チェックポイント分子をブロックすることで一部の患者ではwt-p53特異的T細胞応答が認められた。 またHPV陽性頭頸部癌とHPV陰性頭頸部癌におけるがん微小環境の違いについて、がん関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblasts: CAFs)に着目して解析を行うためにHPV陽性およびHPV陰性の頭頸部癌組織片から5症例ずつCAFsを樹立継代した。今後これらのCAFsについてRNA-seqにて遺伝子発現解析を行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は、public databaseをもとにHPV陽性頭頸部癌とHPV陰性頭頸部癌のがん微小環境の違いについて検証してきたが、今回は実際の患者サンプル(末梢血)を用いて解析を行った。HLA-A24陽性HPV陽性患者の末梢血単核球からHPV16およびwt-p53抗原特異的T細胞応答検出の実験系の作成ができ、12例の症例について解析を行った。患者サンプルは既に20例程度あるので、これらを引き続き解析予定である。HPV16 E6/E7およびwt-p53特異的T細胞応答を解析予定の末梢血単核球サンプルについては、既にT細胞サブセットや免疫チェックポイント分子の発現をフローサイトメトリーにて解析済みであり、今後抗原特異的T細胞応答との関係について解析予定である。 また、HPV陽性頭頸部癌とHPV陰性頭頸部癌におけるがん免疫微小環境を評価するためにそれぞれ5名の患者組織片からがん関連線維芽細胞の樹立を行えており、順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
既に集めている症例に加えて、引き続きHPV陽性頭頸部癌患者から採血を継続して行い、HLA-A24のスクリーニングを経て、HPV16およびwt-p53特異的T細胞応答の検出を進める。また、がん抗原特異的T細胞応答と末梢血T細胞サブセットや免疫チェックポイント分子の発現との相互関係について解析を行う。さらにこの実験系を用いて、様々な免疫チェックポイント分子を単独あるいは複数ブロックすることで、がん抗原特異的T細胞応答の変化を評価する。 樹立されたHPV陽性頭頸部癌およびHPV陰性頭頸部癌由来のCAFsの遺伝子発現をRNA-seqにて解析し、パスウェイ解析を行うことで両者のCAFsの違いについて解析を行う。このデータをもとに、HPV陽性頭頸部癌およびHPV陰性頭頸部癌のがん免疫微小環境の違いに関わる分子あるいはパスウェイの同定へと進めていく。 またHPV陽性頭頸部癌患者のうち手術を行う症例からは末梢血単核球とともにtumor-infiltrating lymphocytesの分離を行い、これをIL-2存在下に培養し、HPV16およびwt-p53に対する応答の検証を進めていく。
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