2022 Fiscal Year Annual Research Report
Oncolytic virotherapy for personalized treatment
Project/Area Number |
20H03835
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
江崎 伸一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20620983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 学 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (00812744)
大黒 徹 北陸大学, 薬学部, 教授 (80291409)
波多野 芳美 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (90792672)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 腫瘍溶解ウイルス療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部癌は原発巣やリンパ節転移ともほとんどが皮下、粘膜に発生し、腫瘍内への局所注入が容易であるため、腫瘍溶解ウイルスの治療対象として適性が高いと考えている。現在までに臨床試験が2件報告されているが、継続した治験が行われていない。 腫瘍溶解ウイルス療法とは腫瘍細胞のみで増殖し、破壊すると同時にウイルスを放出し.周囲の腫瘍細胞が感染することにより腫瘍を縮小させることを目指したウイルスである。腫瘍溶解ウイルス療法の有力な候補である単純ヘルペスウイルスは、2本鎖DNAウイルスで遺伝子的には安定しているが、それでも違う研究室で継代された同じウイルス株の遺伝子配列が異なることが示されている。この遺伝的な不安定性を利用して、腫瘍溶解ウイルスの抗腫瘍効果を増強できる可能性を考えた。 そこで、本研究は頭頸部癌の患者毎に最適化した腫瘍溶解ウイルスを作成することと、そのメカニズムを解析することを目的とする。具体的には、患者由来の初代培養細胞株を用いて腫瘍溶解ウイルスを馴化させ、抗腫瘍効果と遺伝子変化を検討する。本研究により最適な抗腫瘍ウイルスに馴化することができれば、将来臨床の場において、腫瘍溶解ウイルスに人為的な遺伝子変異を行うことなく抗腫瘍効果を強化できる手法に応用できる。がん細胞の有する遺伝子変異に基づき症例毎に最適化したがんの治療法が「個別化医療」として注目されているが、本治療法も腫瘍溶解ウイルスを症例毎に最適化できるため、「個別化医療」に向けた腫瘍溶解ウイルス療法になることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
患者検体由来の初代培養細胞株の作成、担癌マウスモデルの作成については順調に研究が行われている。初代培養細胞株でマウス背部皮下腫瘍や、舌腫瘍を作成し、腫瘍造性を確認した。 ウイルス関連の研究については、ウイルス学を専門とする共同研究者との協力の下実験予定であったが、コロナウイルスの影響で共同事件を行う時間が限られているため当初の計画よりは遅れている。そこで、臨床研究で用いられている複数の腫瘍溶解ウイルスを取得して、その効果を比較検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
患者検体由来の初代培養細胞株作成、腫瘍モデル作成については引き続きすすめていく予定である。 担癌マウスモデルにおける馴化ウイルスの作成については研究がやや遅れている。馴化ウイルスを作成し、解析を徐々に進める予定である。また、他の腫瘍溶解ウイルスの効果を検討する予定である。
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