2020 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障視神経症における圧較差を介したミトコンドリア障害の解明
Project/Area Number |
20H03840
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
稲谷 大 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (40335245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 佳弘 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (00283193)
有村 尚悟 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (20835029)
辻 隆宏 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (40787389)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 緑内障 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑内障では、篩状板の変形が視神経障害の原因であると考えられてきた。しかし、我々が開発したライブイメージングで、篩状板のないマウスでも、眼圧上昇でミトコンドリアの軸索輸送が停止し、網膜神経節細胞の細胞死が生じることがわかった。正常眼圧緑内障患者では脳脊髄液圧が低く、篩状板を挟んで眼圧と脳脊髄液圧との圧較差があるという報告がある。篩状板を挟んだ圧較差がミトコンドリア障害を引き起こし、 軸索輸送が停止することが緑内障視神経症の本質であることを明らかにするため、低脳脊髄液圧でのミトコンドリア軸索輸送のライブイメージングをおこなう。 我々は、マウスの脊髄腔を開放させて、脳脊髄液圧を3ヶ月にわたって下降させることができた。オリンパス製2光子レーザー顕微鏡を用いて、CFPでミトコンドリアを蛍光標識したCFP-mitoトランスジェニックマウス(生後4週齢)に対して、低脳脊髄液圧のモデルを作成し、ミトコンドリアの視神経軸索輸送の変化をライブイメージで観察し、定量評価をおこなうことができた。 さらに、我々は、医療用の共焦点走査型ダイオードレーザー検眼鏡であるニデック社のF-10の検出波長に最適な蛍光色素タンパクYFPの遺伝子に置換したYFP-Thy1-mitoトランスジェニックマウスを新たに作成した。YFP-Thy1-mitoトランスジェニックマウスでは、経瞳孔から、F-10を用いて、眼底を観察することができ、網膜全体のミトコンドリアの分布をライブイメージで録画することができた。網膜内のミトコンドリアは、網膜神経節細胞の細胞体と軸索に一様に分布していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低脊髄液圧モデルの作成に成功しており、その軸索内のミトコンドリアの輸送のライブイメージングを安定して観察できている。
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Strategy for Future Research Activity |
高眼圧モデルと低脳脊髄液圧モデルでミトコンドリアの軸索輸送と網膜内の分布に違いがあるのかを定量評価する。
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