2020 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクス編集技術を用いた革新的脂肪移植治療法開発に資する基盤的研究
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20H03846
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三川 信之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (40595196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 知明 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50447299)
黒田 正幸 千葉大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (00253005)
窪田 吉孝 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (10375735)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脂肪細胞 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
形成外科学は体表のあらゆる部位が手術対象である。また、手術の対象となる組織は皮膚、骨、軟骨、血管など多岐にわたる。そして、すべての手術においてその根底を貫く考え方となるのが、美しい形態の再建が良好な機能の再建にもつながるという形成外科学の原理である。 しかし、現実の治療はおいては与えられた様々な制約条件の中で行わざるを得ず、美しい形態と機能の再建という患者の切実な願いを叶えられるケースばかりではない。脂肪移植術は柔らかい組織の増量にとどまらず、瘢痕成熟、組織血流改善、組織幹細胞の導入といった多面的作用を有することが明らかになっている。脂肪移植術を他の治療と組み合わせることで組織状態の改善効果を発揮し相乗作用により手術成績を向上させることが大いに期待されている。 本研究の目的はエピジェネティクスに注目して脂肪移植の多面的作用を引き出し、今まで得られなかった治療成績を達成することである。 エピジェネティクスはDNA配列を変えずに遺伝子発現を調節するメカニズムである。基本的に同一のDNA配列を持つ個体内で個々の細胞機能の違いを生み出す根幹となっている機序である。我々はこれまでヒト皮下脂肪組織中の細胞のエピジェネティクス解析を行い多くの新知見を得てきた。 本年度、ヒト皮下脂肪組織中の細胞における脂肪分化時の遺伝子発現とエピジェネティクス状態の解析を行い、両者の関連について検討した。また、皮下脂肪組織中には多種の細胞が含まれていることから複数の細胞の平均値の解析では限界があると考え、一細胞解析手法を適応し機械学習手法を用いて解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト皮下脂肪組織からの細胞分離とその増殖、維持が想定より順調に行えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
皮下脂肪組織中の個々の細胞性質を一細胞解析手法で分析することはこれまで殆ど行われていなかったことであるため、データ解析から新たな知見が得られると推定される。それらの新知見に基づき、我々が目的とする「多面的機能を引き出した脂肪移植」に適した細胞群を明らかにする。各細胞群のエピジェネティックプロファイルを解析する。エピジェネティクスへの介入による脂肪分化関連遺伝子の発現変動効果を明らかにする。これらの結果から最終目標である脂肪移植における必要な細胞操作を検討する。
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