2021 Fiscal Year Annual Research Report
食調節の乱れと嗜癖を生む高カロリー味覚情報機構の解明
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20H03855
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Research Institution | Tokyo Dental College Junior College |
Principal Investigator |
安松 啓子 東京歯科大学短期大学, 歯科衛生学科, 教授 (50380704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 文子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00334277)
永井 由美子 東京歯科大学短期大学, 歯科衛生学科, 講師 (30777488)
自見 英治郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (40276598)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 味覚 / 脂肪酸 / 摂食調節 / 感受性低下 / GPR120 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病の成因で特に重要なのは、体が必要としていないにもかかわらず、美味しいものを食べすぎるという事を日常的に繰り返してしまうことである。この問題に味覚研究から取り組む必要がある。近年の「脂肪の連続摂取が脂肪酸の検知閾値と高い相関を示す」というヒトの研究と、代表者らが解明した脂肪酸の味覚受容体・脂肪味神経によって、脂質が他の栄養素とは独立して制御され、何らかの原因でその制御が変調を来たし、ホメオスタシスが破綻する可能性を示している。そこで本研究課題では、①脂肪の連続摂取で 脂肪味に鈍感になる細胞・神経メカニズム②脂肪の連続摂取等による嗜好性増強の中枢メカニズム③脂肪味と甘味・うま味との相互作用の3つの疑問を検討した。 本年度は得られたヒトの脂肪酸検知閾値測定結果から、約70名の結果を検討したところ、最近1週間の食事の中で、1食当たりの脂肪摂取量とオレイン酸の検知閾値が有意な正の相関を示すことが判明した(p<0.01)。しかし注意深く散布図を見ると特に20-30gを摂取したヒトの閾値のばらつきが大きく、遺伝子の関与が考えられたため、GPR120のexonについての次世代シーケンスを開始した(外注)。脂肪の連続摂取による鈍感化のメカニズムを解明するためバルクでのシングルセルRNAシーケンスを行った。マウスの味細胞をマウス安楽死後、エラスターゼ処理して舌上皮と共に剥離しガラスピペットにて採取した。血中インスリン分泌の測定に関してはオレイン酸摂取後も検討を開始し、受容体アンタゴニストも用いて解析の予定である。マウスの味覚反応試験については、複数回の条件検討の結果オレイン酸の濃度シリーズに対する嗜好性が明らかになった。鼓索神経を切断したマウスの二瓶選択嗜好性実験においては、脂肪酸受容体ブロッカーを用いて嗜好率を算定したところ、受容体によって嗜好性が変化する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画の項目1について、ヒトの脂肪酸検知閾値測定および、GPR120遺伝子多型解析により、環境因子だけでなく遺伝因子を探索するという目標は実行中である。項目2.マウスの味覚神経末梢レベルにおける感受性の低下の原因として、連続した脂肪摂取がもたらす遺伝子発現変化を解析することについても実施した。質の良いサンプルを取得する条件を見いだせた。3.脂肪酸の口腔内刺激がもたらす脳相分泌について溶液摂取後のマウスから採血を行った。その際受容体アンタゴニストも使用した。
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Strategy for Future Research Activity |
あと1年の研究期間の中で効率よく研究を実施するために、実験担当者同士の進捗報告会を行い、情報交換を活発にする。しかしながら遺伝子多型解析にはさらなる予算確保が必要である。
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Research Products
(10 results)