2020 Fiscal Year Annual Research Report
疾患由来iPS細胞レジストリとPLAP-1を基軸とした侵襲性歯周炎の分子病態解明
Project/Area Number |
20H03862
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 聡 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40359849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森崎 隆幸 東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (30174410)
江草 宏 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30379078)
鈴木 茂樹 東北大学, 大学病院, 講師 (30549762)
根本 英二 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (40292221)
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 侵襲性歯周炎 / 疾患由来iPS細胞 / PLAP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
侵襲性歯周炎(Aggressive Periodontitis: AgP)は、通常の歯周炎とは異なり、その発症と進行に遺伝的要因が関与する比率が高いと考えられており、実際にゲノムワイド関連(GWAS)解析により原因・関連遺伝子の解明がなされてきた(Schaefer et al. Hum. Mol.Genet. 2010)。これまでに申請者らは、GWAS解析から、Gタンパク共役受容体GPR126やリン脂質酵素SMPD3の遺伝子多型が侵襲性歯周炎の発症リスクに関与していることを見出している(Masumoto et al. J Periodontal Res. 2018)、しかしながら、GWAS解析から見出された疾患関連遺伝子について、AgPの発症・進行に関わる詳細な細胞機能解析を行うことが、原因遺伝子の確定的な同定には必要不可欠であり、AgPの分子病態を深く理解するための喫緊の課題となっている。本研究では、未だその発症・進行メカニズムの詳細が不明な侵襲性歯周炎(AgP)において、大規模な患者由来iPS細胞レジストリ(AgP-iPS細胞レジストリ)を構築し、同細胞レジストリを用いて網羅的な全ゲノム解析と細胞分化機能解析を同時に行うことで、AgPの原因となる複数の新たなる遺伝子変異群を決定することを目的としている。2020年度は、AgP-iPS細胞レジストリ構築の前段階として、理研から分与された健常者由来iPS細胞を用いてiPS細胞の培養系ならびに分化誘導系の確立を行った。AgP-iPS細胞レジストリ構築に向けたAgP患者からのiPS細胞に必要な学内倫理委員会への申請についても進めている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に開始予定としていた侵襲性歯周炎患者からのiPS細胞樹立と侵襲性歯周炎患者由来iPS細胞レジストリの構築に至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、侵襲性歯周炎患者からのiPS細胞株樹立により、侵襲性歯周炎患者由来iPS細胞レジストリ(AgP-iPS細胞レジストリ)の構築を行っていく。さらに、侵襲性歯周炎のモデルマウスとしてPLAP-1遺伝子改変マウスからマウスiPS細胞を樹立することにより、疾患由来iPS細胞の解析を進める。AgP-iPS細胞レジストリにおける細胞分化・機能解析は、振盪培養による骨芽細胞誘導あるいは軟骨細胞誘導とFukutaらの方法による間葉系間質細胞分化誘導を行う(Fukuta et al. PLoS One. 2014)。iPS細胞から分化誘導した間葉系間質細胞の細胞伸展刺激(メカニカルストレス)への反応性、歯根膜分化マーカーPLAP-1、Periostin等の発現解析、さらに各種サイトカインに対する反応性や増殖性、細胞死の有無などを、健康な対象者から単離・樹立した正常iPS細胞と比較検討することにより、細胞分化・増殖機能に異常を示すクローンを選定する。AgP疾患関連遺伝子変異と細胞クローンの細胞機能異常とを比較検討することで、細胞機能に基づいた原因遺伝子変異を絞り込む。
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Research Products
(5 results)